救済の技法


 さて記念すべき、というほど大仰なものでもありませんが第一弾は何と言ってもこれしかありません。私なんかがご推薦するのもおこがましいのですが。

hirasawa

 そうです、私が普段何よりも愛聴しており、当ホームページの私の拙文でもたびたび紹介させてもらっている平沢進師匠の一番新しいアルバム「救済の技法」です。
 画像をご覧になれば分かりますように、発売から既に3ヶ月も経っておりますが、このアルバムは縁あって推薦コメントを書かせていただいたことでもありま すし、またコロンビアの宣伝の方に当ページに上のチラシを掲載する許可も賜りましたので、遅まきながらここに紹介させてもらいます。
 この画像では分からないでしょうが、このチラシに漫画家の山岸涼子さん、三浦健太郎さん、声優の宮村優子さんに混じって不肖私のコメントも載せていただ きました。随分と偏った人選にも思えますが、宣伝担当の方に寄りますと「今回は漫画・アニメ関係で固めてみました」とのことだそうで、この手の業界には非 常に多いみたいです、平沢ファンが。
 当然私は「アニメ関係」ということになります。
 「肩書きをどうします?」と聞かれて“アニメ演出家”と言えるほど作品数を作っているわけでも知名度もないので“パーフェクトブルー監督”としておいた のですが、出来上がったチラシを見たら他の方が「漫画家」「声優」であるのに私だけあまりに具体的な肩書きになっていたので少々恥ずかしかったですよ。
 何だか「パーフェクトブルー専門職」みたいな感じもするし。
 「ご職業は?」
 「は、パーフェクトブルーをやっております」
 早く次回作を作らねば。
 恥ずかしながら私のコメントも一応紹介させてもらいますと、

彼方の地平から届くその歌声が救いをもたらします。しかし気を抜いてはなりません。凛々しく、時に荒々しく押し寄せるそれは、施される者も身を正すような怒濤の救済。さあ心して待ちましょう。救済が、来ます。

 と、なっております。
 笑うなよ。これでも緊張しながら一生懸命考えたんだから。
 100字程度と言われたので何回も考えて削ったのに、他の人のを見たら全然100字じゃねえでやんの。真面目なんだよ、私。

 平沢師匠のソロとしては7枚目に当たる今回の「救済の技法」は、これまでのアルバムの中でも傑出した出来上がりではないかと思います。じゃあだからといって傑出してないアルバムは一つも無いとも思うほど、平沢師匠のアルバムはどれも素晴らしいのですが。
 ありがたいことに私はこのアルバム発売の前にカセットをいただいて聞かせていただいたりしていたのですが、初めて聞かせていただいたときの感想を記したメールからちょっと引用したり補完しながら、紹介の一助としてみたいと思います。

 「“万象の奇夜” 録音日誌の方で、このタイトルを見たときから気になっていた曲ですが、ミステリアスなリズムが鈍色の妖しい夜のムードを醸し出していて、とってもビジュアルなイメージが拡がる曲です。
 “ナーシサス次元から来た人”の 噂のソプラノは凄いですね。どこから声が出ているんでしょうか。録音日誌に“ヒラサワ唱法の新次元”とありましたがその通り。正にミラクルボイス。隣の次 元から届いたような響きと漂ういかがわしさ(笑)が何とも不思議。これも一つの救済の声です。この声や曲に限ったことではないのですが、出すアルバム毎に 何だか師匠の声は色気が増しているような気がします。凛々しいのは言わずもがなですが。
 “××の○○” (※“TOWN-0 PHASE-5”の 仮のタイトル。一応伏せておきます)一瞬目を疑ってしまったほど、何とも師匠の曲には不似合いとも思えるタイトルですが、良い曲ですねぇ、聞きながら思わ ず口ずさんでしまいます。詩も秀逸ですし。師匠の詩はあまりに特異で、いつも歌詞カードを見ないと判別しにくい(笑)のですが、この曲はタイトル同様分か りやすい。とは言え平易な言葉を繋いで独創的なイメージを生み出すセンスが素晴らしいです。やっぱり「行こう すれ違おう」って呼びかけられた方も困るよ うな詩はさすが。
 “庭師King” タイトルを見たときは“橋大工”同様、何の冗談かとも思いましたが力強くかっこよい曲ですね。近頃は仕事に行く電車の中などでこれを聞いて、労働への意欲をかき立てております。やる気になります。やる気にさせられます。私もKingにならって休まずに作品を作りたいと思う今日この頃。それ働け働け。
 “救済の技法” 「たじろげ」という冒頭の歌詞の通り、たじろいでしまいました。師匠曰わくバカコーラス(笑)の威力もすさまじく、力強い巻き舌と相まって圧倒的な破壊力があります。救済される方も思わず身を正すような、怒濤の救済。
 このアルバムで初めて平沢を聞いた関西の若者が「救済されそう…」とつぶやいた言う話を聞いたことがありますが、うっかりしてると救済されちゃうぞ。
 全体に力強く男性的なイメージのアルバムのようですね。それといつにも増してコーラスが大変印象的な曲が多い感じでした。他にも曲があるようですし、歌詞やジャケットを含めアルバムの完成が待ち遠しい今日この頃です。大傑作ではないでしょうか、“救済の技法”

 この他にも「MOTHER」「MOON TIME」「橋大工」など私の拙い言葉では伝えられない素晴らしい曲が詰まったアルバムです。音楽を言葉で解説したり表現出来るものでもないので、当ホームページを御覧の皆様も是非お一つ如何でしょうか? いや是非お買い求めいただきたい。
 たった¥3,000で貴方の手元に感動の救済が。

 さて宣伝はこの位にして……エ?もっと宣伝しろって?

 買え。
 救済されてしまえ。