2008年4月4日(金曜日)

おめでとう、Hくん



以前、一緒に仕事をしたHくんが今日、結婚式とのこと。
おめでとう。
彼は、『千年女優』に制作進行として参加し、『妄想代理人』では演出として参加してくれた。
マッドハウスを離れてからは、別の制作会社で演出の中核を担い、将来を期待されていると聞いた。
彼は現在、きっと「良い流れ」の中にいるのだろう。
かつて一緒に仕事をしていたときの彼は、肥大した自尊心とそれを支えるにはあまりに心許ない実績と能力ゆえに、たいへん不安定な自我と仕事ぶりであった(若いってのはつまりはそういうことだが)。
彼は、何だか「迷子」みたいに困った顔をしていることが多かったように記憶している。失礼な話ですまない。
だが、そんな彼と時を隔てて久しぶりに会ったら、あまりに顔つきが変わっていたので驚いた。
「あれ?Hくん!?」
顔からは、以前からは想像もつかない「光」のようなものが放射されていた。別にスピリチュアルな話ではない。輝き、というとあまりにこっ恥ずかしいが、そういう種類のものだ。
「あのHくんが……こんなにも立派に……(涙)」
感慨しきりであった。
仕事に自信を持つと人間こうも変わるものか、と思わされた。

さて、この自信というものは、誰しも手に入れたいものの一つであろうが、しかし残念ながら得手勝手に手に出来るものではなく、往々にして周囲からの評価によって育てられるものだ。
広辞苑によれば、自信とは「自分の能力や価値を確信すること」とあるが、確信するためには他者を経由しなければならない。
一人勝手な自信は得てして「自信過剰」の誹りと嘲笑を受ける。その様が周囲から見れば痛々しい限りであることは、どなたにも経験があるだろう。気づかぬは本人ばかりなり。
Hくんの変貌なった顔つき、それを裏打ちする自信は周囲からの評価の現れである。
だから、申し訳ないことに私は現在の彼の仕事を見たことがないにもかかわらず、その顔つきからきっと良い仕事をしているに違いないと確信している。
世の中には、自分のことであるにもかかわらず、一人ではどうにも出来ないことばかりである。
相手からの承認がなければ成り立たない、その最たるものが結婚であろう(笑)
結婚は一人では出来ない。
商業アニメーション制作の仕事も一緒である。
仕事の自信が呼び寄せたであろう結婚が、次への仕事と自信につながることを期待している。
結婚おめでとう、Hくん。

ささやかながら有志で「お祝い」を包み、絵も添えさせてもらった。
表書きには代表として彼の名前を記した。
「少年バット」
悪意はないからね(笑)

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。