2008年4月11日(金曜日)

どっさり捨てる



昨日はスタッフルームの整理。
これまで監督してきたタイトルの置き土産が堆積し、スタッフルームの場所塞ぎになっている。「十年の土産」で大量に配布した『パーフェクトブルー』のセルもその一つである。
配布したセルの残りは、中身など確認することもなく廃棄処分にした。
保管しておいても使い道はない。
同様に、『千年女優』『東京ゴッドファーザーズ』『妄想代理人』そして『パプリカ』のカット袋は大幅に処分することにした。
『東京ゴッドファーザーズ』以来使用していたサーバが去年「死んだ」ため、スキャンされたデータも失われている。オリジナルの素材を捨てたら、二度とお目にかかることも出来なくなるが、しかしだからといって一々中身を確認して選別し始めたら一月かけても終わりそうにないので、カット袋まるごと処分である。
終わったものの置き土産に圧迫されては本末転倒である。
どのくらいの数があるというと、『パーフェクトブルー』の分を除いても、多分7000カット分くらいが残っているのだ(劇場一作が約1000カット×3、プラスTV1話約300カット×13本)。別袋に分けてあるものも多数ある。
総数がどのくらいになるのかよく分からないが、確かなことは邪魔だということだ。
邪魔者は消えるべきだ。
全部まるごと捨てることも考えたが、特筆すべき仕事は残しておいた方が後進の参考になるかもしれないし、資料にもなりうるので、見応えのある原画や特筆すべき背景素材などを、ある程度選別して残すことにした。
どれを残すかは、監督の独断による。裏返して言えば監督が一つずつ見ないと判断がつかない。
とりあえず『妄想代理人』のカット袋を話数と担当者、それと監督の好みで選別し、9割方廃棄した。何て気分がいいんだ。
続いては『東京ゴッドファーザーズ』。さすがに劇場用だけあって、原画・修正枚数が多いので厚く重たいカット袋が多い。これも5割以上廃棄。
一気に棚にスペースが出来る。清々しいほどだ。
この2作で多分4000カット分くらいは処分したところで、急に「電池が切れた」。
さすがに昨日一日で数千袋も見られるわけがなかった(笑)
長時間の肉体労働には耐えられない身体になっていることだよ。
『千年女優』と『パプリカ』については後日処分することにする。

廃棄処理中、あれこれ発掘されたものもある。
仕事をしたことさえ忘れかけていた某コマーシャルのために制作したアニメーションのセルが出てきた。
「あ、懐かしい」
袋は埃にまみれていたが、セル自体は比較的良い状態で残っていた。
30秒弱のアニメーションだったと思うが、このコマーシャルは諸々「政治的」事情があって最終的にオンエアはされていない。
制作したのは『千年女優』完成直後で、本田師匠がキャラクターデザイン・作画監督、コンテ演出は今 敏。
未発表なだけになかなかの「お宝」ではあるが、その素材をどこかで紹介するわけにも行かない。
どうしたものやら。
一方、何か使い道がありそうなのが、『千年女優』のセルである。
過去の素材にさほどこだわりがあるわけではないが、いまとなってはセルの存在はなかなか嬉しいものである。
映画の「スチル」風に、セルと背景を組んだものも多数出てきたので、これは活用方法を少し考えてみよう。
セルが死んじゃう前に。

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