2008年8月6日(水曜日)

ワンセグ



昨日、ふと思い立ってワンセグチューナーというものを買ってみた。
仕事場のPCでテレビ番組を見るためである。
普段テレビはニュース以外ほとんど見ることもないのに、何故にワンセグかというと、昨日放送されたNHK番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見るためである。何しろスペシャル枠1時間半での「宮崎駿〜「ポニョ」密着300日」である。
これを見逃すわけにはいかない。
というのはウソで、8日から開催される北京オリンピックの熱戦を見逃さないため、というのも勿論ウソ。
本当の理由は、こうだ。
「ワンセグチューナーが欲しかった」
清々しいほどの物欲ではないか。
あるいは、単に「仕事場でも手軽にテレビが見られる環境」を用意してみたかっただけである。
テレビなんか見なくてもかまわないし、実際これまでだって見られなくて困ったこともないが、一緒に仕事をしているIくんがPCでワンセグを見ている様を見て刺激された次第である。
「私も欲しい」
まるで子どもだ。

ヨドバシカメラでチューナーを買い、出社して早速セッティングしてみる。
すぐに電波は受信され、快適な視聴環境が出現した。
「おお、簡単に映るものだな。やぁ便利便利」
文明開化である。
開化はしたものの、これで欲求は100パーセント達成されてしまった。
「欲しかっただけ」なのだから。
見るものなんて別にないのが少々残念だ。
折角買ったので、夕方のニュースでも見ようとソフトを起動すると、電波は良好に受信され、こちらの希望通りに番組が映し出されるが、私の口から出たのこんな独り言。
「……くだらねぇ…」
ウェブで動画ニュースでも見た方が、くだらない「雑音」がないだけまだましだ。
これじゃ不愉快を高じさせるためにお金を使ったようなものではないか。

22時から、先に記した「宮崎駿〜「ポニョ」密着300日」を見てみる。
先日、ジブリの鈴木敏夫プロデューサーの『仕事道楽』(岩波新書)を読んだところ、これがたいへん面白く、続けて『映画道楽』(ぴあ)も読んでみた。プロデューサーの視座というか考え方が興味深く、巨匠たちのエピソードも示唆に富んでいて面白い。
私はこういう考えの人間である。
「年寄りの話は聞いておくものだ」
そういう背景もあって、この番組である。
実にテレビ番組らしい「手口」がひどく鼻につくが、画面からは巨匠の真摯にして誠実、かつエネルギッシュな仕事ぶりが窺える。
私も少しは見習わなくてはいけないと恥じ入ることしきり。
ジブリさんに足を踏み入れたことはないが、アニメーションの制作現場はいずこも似たようなもので、お馴染みの風景だと思って見ていたら、どこかで見た顔が出てきた。
叱られていた。
罵倒されていると言った方が適切だろう。
巨匠はスタッフを怒ることにおいてもやはり真摯にして誠実、かつエネルギッシュである。
私も少しは見習わなくては……とは全然思わない。
NHKの全国ネット、プライムタイムの視聴率も高そうな番組で、あれだけ罵倒された方はちょっと気の毒な気もする。
テレビ的には巨匠の仕事ぶりを描く上ではたいへん「おいしい場面」だったろうけど。

たまにはテレビも見てみるものだ。
普段は目にすることもない新聞のテレビ欄を眺めてみる。
さてさて、今日は何があるのかな……と。
案の定だ。
見るもんないや。

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