2007年8月8日(水曜日)

かれこれ一年



気がつけばそろそろ『パプリカ』制作が終わって一年になります。
その間、私は何をしていたのか。
まとまった仕事なんて何一つしてません。がっかりするくらい。
こんなに長い休み(休んでいるわけではないのですが)なんていつ以来でしょうか。アニメーション業界に入ってからは初めてのことかもしれません。
作りかけていた短編が諸事情があって中止になったので、これは仕方ないとしても、他に実作業をした仕事といえば、パッケージがリニューアルされる予定の某アニメのためにイラストを一枚、NHK「アニクリ」用に1分のコンテを描いたくらい。
他にも新作長編のプロットや某映画のためにアイディアを提供したり、あの企画やらこの企画など水面下での動きはあるものの具体的にお披露目できる仕事はありません。けっこう寂しいものです。
この一年の仕事はほとんど『パプリカ』がらみです。
メインビジュアル、DVDボックスジャケットそれぞれのためにイラストを一枚ずつ。
プロモーションのために国内外を行脚して、結果300本に届きそうな取材。
いまだに海外からは『パプリカ』に関するメールインタビューが届いたりします。
うんざりすら通り越して、単に質問に反応しているような気分です。

本業の方があまり進展していないのに、というか進展していないからなのかよく分かりませんが、本業以外の仕事で妙な依頼が多くなっている気がします。
先日こちらの掲示板でも紹介した脳理化学研究所主催のパネルディスカッションもそんな一つです。
「デジスタ」の収録が2回あった他、「アニメギガ」という番組にも出演させてもらいました。
「アートカレッジ神戸」での講師の仕事も続けておりますが、レギュラーの講義以外で「特別講義」や学校説明会での簡易イベントにも協力させてもらいました。
本業の方だって覚束ないくらいですが、本業ではない「喋る仕事」をする度に覚束ない日本語能力にガッカリさせられます。
だというのに、「講演」の依頼なんてのが来るのです。
某有名私大のイベントにもお誘いいただきました。こちらは残念ながら同日にとある式が入っているのでお断りしてしまいましたが。
某大手広告代理店の方から、あることについてヒアリング取材をしたいとのお話もありました。
ただのアニメーション監督なんですけどね。
私なんかのところにそんな依頼が来るということは、それだけアニメーション業界とそれを取り巻く状況が変化したということなんでしょうね。
私の実感としても、業界に入ってから18年ほどの間に状況が大きく変化したと思います。
昨日も、某学校から「講師」のお誘いを受けました。
無縁なところではないので、つい前向きに考えてしまいますが、将来的にこうした副業が本業を圧迫することは十分に予想がつくだけにねぇ……。
現場を見学させてもらって考えてみるつもりです。

いいから本業を進めろ?
ええ、私もそうは思うんです。

さて、仕事しよ。

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