2007年5月8日(火曜日)

近況その2



アメリカから帰ってきて、今度はすぐに北海道に行っておりました。
両親が金婚式を迎えるということで、その記念旅行に参加していた次第。阿寒湖です。このほとりにある「雛の座」という旅館に二泊してきたのですが、実に素晴らしいところでした。
阿寒湖に行かれる方は是非こちらをお勧めします。
http://www.hinanoza.com/
少々お高いかもしれませんが、それだけのことはあります。是非また行きたいものです。
私は4月26、27日と泊まったのですが、26日の夜、阿寒では大雪が降りました。部屋の大きな窓の外には、阿寒湖が見渡せる素晴らしい景色が広がっているのですが、その景色がまったく見えなくなるほどの大粒の大雪。白濁の闇。釧路で育った私も驚きました。
寒かったです。阿寒湖なんて氷が張ったままだし。ブルブル。
しかし翌日は快晴。阿寒の清々しい空気と美しい景色を楽しめました。まさにカムイミンタラ。
阿寒からの帰り、少しだけ釧路に立ち寄りました。10年ぶりくらいですかね。
いやぁ…清々しいほど寂れてましたね、北大通り。
目立つのはシャッターと貸室の貼り紙と消費者金融の看板ばかり。その消費者金融の「アイ○ル」ですら看板を残してもぬけの殻になっていました。
寂しいと感じるより、心底驚きました。釧路の人口も20万を切ったと聞きました。高校も統廃合が進んでいるらしいですね。復活の兆しは…見つけるのが難しいのでしょうかね。

そんな中、微笑ましかったのは釧路のキャッチコピーです。昔からあったものなのか、最近提唱されたものかは分かりませんが、「I♥NY」とか「好きですサッポロ」みたいなものでしょう。
そのキャッチコピーが釧路の空港で出迎えてくれました。
「くしろよろしく」
……回文かよ(笑)。脱力するほど気が利いているとでもいえばいいのでしょうか。
ただ、キャッチコピーとはいっても、私が見かけたのは空港と市内で一回ずつだけなのであまりメジャーではないのかもしれません。手作り感に溢れたポスター、というより貼り紙でしたし。
「くしろよろしくしろよろしくしろよろしくしろよろしく……」
出口なし。
そうだ、これは今の釧路の状況を的確かつ手身近に表しているじゃありませんか。
上から読んでも下から読んでも同じという回文、その出口なき回廊の煉獄は発展や回復の兆しが見えない釧路の閉鎖状況を見事に言い当てている!
当てるなよ、そんなもの。

ちぇっ、話が湿っぽくなっていけねぇや。
機械の話でもしましょう。
先ほどからも私には不似合いなアイテムがいくつか登場しておりますが、私は近頃「物欲」が肥大している、というか、リセットの時期に来ているのか、ともかく色々なものを新調しています。
新調ついでに家も立ち退きになっちゃうし……ハッ、また話が湿ってきそうだ。
まず先のWindowsマシン。喫煙者ほどではないにしてもアップルユーザーは疎外されがちですし、私も世間に譲歩して人並みな環境も手に入れておこうという大人の態度でWindowsを衝動買いしました。初めてのWindowsです。
何でも世の中には「マックユーザーがWinマシンを買うときはVAIO」という意味ありげな法則が存在するらしく(FOOさん情報)、素直な私は知らぬ間にこの法則に準拠してしまっておりました。
だって、他に見目麗しきマシンがなかったんですもの。
2月のとある日曜日。
「よし、今日はWindowsマシンを買いに行こう」
そう思い立って、近所のヨーカ堂の電器コーナーに行きました。Windowsなんてテレビとか冷蔵庫といった家電みたいなもんだからヨーカ堂で十分だろう、という見下した態度というか「パソコンを近所のヨーカ堂」で買うという行為がたいへん気に入ったのですが、残念ながら気に入ったパソコンはありませんでした。

結局、吉祥寺の電器屋で選んだのですが、何しろWindowsのことなんて何も知らない。新OSのVISTAとやらがリリースされたばかりだというので、「新しいものの方が良かろう」精神からVISTA搭載のマシン、ということくらいしか条件はない。あとは見た目が「カッコイイ」かどうか。
かつて「男はパッと見よ♪」なんて、卑猥な顔をした女性が言ってましたが、マシンも同じです。
「マシンはパッと見よ♪」
というわけで、パッパッパッと見て、気に入ったのはVAIOの小さめな黒いやつだけ。
「すいません、これ欲しいんですけど」
私の買い物は服でも機械でもいつもこうです。迷ったらたいてい買わなくなるという傾向にあるので、迷う前に買う。私の鉄則です。
しかしまぁ、店員さんは親切に教えてくれるものですね。
「VISTAだとメモリは最低でも1GB、出来れば2GBは…」
「じゃあ、それで」
しかし、VISTA搭載なのに標準で512MBしか積んでないマシンが当然のように売られているのは何故なんでしょう。
「同じタイプのものでこちらもあるんですが…こちらの方が液晶モニタ部分が薄くて…」
「あ、こっちの方がカッコイイ。じゃあ、これ下さい」
「こちらは店頭では扱っておらず、ソニースタイルというネットでの御注文ということになりますが…」
「エエッ!? それじゃ今日持って帰れないじゃんか!今日持って帰ってすぐにいじれなきゃヤダよ!」
いや、これは私の心の声であって本当に発した訳じゃありません。

というわけでお店のパソコンから、店員さんに手取り足取りしてもらって注文したのがVGN-SZ93NSという黒くて愛いやつ。CPUだのメモリだのHDDの容量などを一つずつ選んで好みの仕様にしたものです。
Windowsは「エセビジネスマン」というコンセプトの元に購入しようと思っていたので、「Word」と「Excel」も乗せてもらいました。
世のWindowsユーザーは誰しもが皆Windowsを使っているものだと信じて疑うことも知らないバカヤロウ様のようで、平気でWordやExcel のデータを添付して送ってきやがっていただけるんですよね。そういう「人皆一緒」「世界は一家、人類は皆強大」という無神経な圧力に一々抗しているのも面倒くさいので、「エセビジネスマン」としてはWordもExcelも用意しておいてやるか、という大人の態度なわけです。後で知ったことですが世の中には「OpenOffice」なんて便利な代物があるようですが。ちぇ。
しかし、お店で注文して届くのは10日後くらいと聞いて少々がっかりしました。いや、かなりがっかりです。だって「今日は機械を買うぞ!」と振り上げた拳とゲンナマの行き場に困るじゃありませんか。
ふと、見るとそこはMacのコーナー。湧き出るは黒雲のごとき物欲。
「すいません、この大きなiMac、在庫あります?」
こうなりゃマシンが何かというより、持ち帰ることが先決になってきているあたりが子供じみているというか、大人というか。
「すぐ見て参ります!」
明るい顔で張り切ってすっ飛んでいった店員さんは、しかし戻ってきたその顔は曇り。
「あいにく在庫は…すぐにお取り寄せ出来ますが」
「じゃ、いいや」

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