1998年2月6日(金曜日)

マリナ!マリナ!マリナ!



先日2/1、週間賃貸こと渡辺満里奈ちゃんに会いました。テレビで見るよりも可愛いではありませんか。満里奈ちゃんと楽しくお話しすること30分程か。アニメの監督もやっておくもんだよな。役得役得。さていかなる経緯で満里奈ちゃん会ったかと言えばテレビ番組の収録だ。勿論昨今の中学生の刃物による犯罪についてもの申す、ということで私がコメントをするという内容だ。そんなつまらないことはいい。パーフェクトブルーについてに決まっている。国営放送の夜中の番組で中華鍋状のアンテナがないことには見られないやつだ。いつの放送かなどということは気にしないように。

渋谷の国営放送内のスタジオに入り、軽い挨拶の後楽屋に通される。担当者に「メークの方はどうします?」と聞かれ、「きっちりお願いします」と言いたい気持ちを抑えて、素人らしく断る。さしたる待ち時間もなく収録開始。他のテレビ局の雰囲気は知らないが、この建物の中がひどく「国営放送」という感じがするのが不思議。何日か前に打ち合わせはしておいたので、あらかじめ質問事項等は知らされているし、他のインタビューで何度しゃべったか分からないほどの定番の質問が多く、気も楽だ。

司会進行は「おしゃれ関係」こと渡辺満里奈ちゃんともう一人「ユースケサンタマリア」という人で、「音楽をやっている」というのと「アニメも好きらしい」ということ以外は私は知らされいない。一体何者なのだ? まさか「ユースケサンタマリア」が本名ということもあるまい。「ユースケさん・タマリア」ということも考えられなくもないが不自然にも程があろう。気になる。

番組収録はお二人の運びが上手なこともあり、緊張感もなく作品に関する質問にテキトーに答えながら実にスムースに進行。「元おにゃんこ」こと満里奈ちゃんが真ん中に座り画面上で私が左に座ったのだが、私の目線はつい「かつての伊集院光のオールナイトニッポン“おべどこ”コーナーのイメージガールナンバーワン」こと満里奈ちゃんに行ってしまう。もちろん「ナンシー関曰く“うまいことやってる存在”」こと満里奈ちゃんを見たいということもあるが、問題はむしろ「ユースケサンタマリア」の正体を知らないという軽い負い目にある。少なくとも彼はパーフェクトブルーを事前に見ているらしい。発言にもその裏付けが感じられる。なのに私と来たら相手が何者かも分からず、どの程度の重要人物かさっぱり分からない。申し訳ない。いくら私がゲストとは言っても何だか失礼ではないか。何より懸念される事態は、彼「ユースケサンタマリア」に向かって話しかけ、もしも予定にはない話題が展開し、しかもそれが彼の正体や職業に関連することであった場合恥をかかせることになるではないか。第一何と呼ぶのが正しいのだ? 周りのスタッフさんたちは「ユースケサン」という日本人お得意の略称で呼んでいるようだが、「アグネス・チャン」のケースもあるではないか。「アグネス・チャンさん」と呼ぶのが初対面の場合には礼儀正しいあり方の筈だ。とすれば一番無難な選択は「ユースケサンタマリアさん」とフルネームで呼ぶことだが、どうにも言いにくい上に、彼のフレンドリーな態度に「ユースケサンタマリアさん」という呼び方では悪い気もする。彼「ユースケサンタマリア」も自分が何者か知らないな、と薄々感じてはいるようだが既にビデオが回っている状態で、急に名乗りを上げるわけにもいくまい。ああ、気になる。

収録も終盤、「パーフェクトブルーというタイトルの意味は?」というまたもや定番の困った質問も出る。そこは私も大人なので「意味はないです」と真実を語り、「作品に点数をつけるとすれば?」という更に困った質問には「そういう何でも点数をつけて評価するという日本の教育システムのあり方は常日頃良くないと思っているので、抗議する意味でも点数はつけません」といった内容の親切この上ない答えをお返ししてみたが、編集されるだろうな。

収録はあっけなく終わりスタジオを出ようとして、ふと肝心なことを思い出し、勇気を出してその言葉を口にする。「あ、満里奈さん、良いですか?握手」と右手を出すと快く握手をしてくれた「マリオじゃなくてマリナなの」こと満里奈ちゃんの手は柔らかかったです。ついでに口元まででかかった言葉はさすがに「常識」という検閲の名の下に心の中にとどめておいた。『で、ホントはどうだったの?“カメラ!カメラ!カメラ!”との仲は』

さて「誰でもピカソ」こと満里奈ちゃんとの握手も果たしスタジオを出ようとしたその時だ、すぐ近くにいるではないか、問題の「ユースケサンタマリア」さんが。ふと目が合う。当然彼は見ていたはずだ私が「“最近のガールポップは…”と語れるほど音楽事情にも詳しいその片鱗を見せ、ただの元アイドルと侮れないタレント」こと満里奈ちゃんに握手を求めたシーンを。その正体が依然謎に包まれたままとは言え、ここで彼に握手を求めなければあまりに失礼な気がする。満里奈ちゃんの手の感触が残る右手を『しまった!順番が逆だった』などと後悔しながら差し出す。いかにも「ついで」という感じが彼「ユースケサンタマリア」さんにも感染する。「あ、ボクの方はいつもついでですから」とこちらを慮ったかのようなセリフで笑みを浮かべて握手に応えてくれる。ああ、感じの良い人ではないか。なのに、だというのに私は彼の正体をまるで知らないなんて。本当にすいませんね気を使ってくれて。

私は未だに彼「ユースケサンタマリア」さんの正体がよく分からないでいるのだが、誰か教えてくれまいか、あの、人に気を利かすナイスガイ「ユースケサンタマリア」さんの本当の名前、じゃなくて正体を。

満里奈ちゃんとお会いしたことを書こうと思ったのだが、何だか「ユースケサンタマリア」の謎に占領されてしまった。折角タイトルも「マリナ!マリナ!マリナ!」にしたのに、これじゃ「マリア!マリア!マリア!」にしとけば良かった。

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