2007年12月5日(水曜日)

ドカンッドドドドバンッバンッグアッ!!



先日、DVDで『ダイ・ハード4.0』を見た。
ヒット作には縁がない方だが、ドカンドカンした映画を見たい気分だったのである。
内容はまさにドカンドカンで表題通りの映画。大笑いできてたいへん楽しめた。
TVの予告を見た限りでは『ダイ・ハード』というより、シュワルツェネッガーの『トゥルーライズ』みたいだと思っていたのだが、まったくその通りだった(笑)
もっとも、シュワルツェネッガーに比べると、ブルース・ウィリスの外見やキャラクター設定がしょぼくれている分だけ、アクションに冗談が生まれる。
ファンタジーとしての落差で言えばこちらの方が遙かに大きい。

その昔、ある人から聞いた『ダイ・ハード』に相応しい邦題はこうだった。
『死ぬのはつらいよ』
秀逸だ。
『4.0』にまで達すると、ダイ・ハード=なかなか死なない、というより、絶対死なないというお約束による「ジョン・マクレーン祭り」みたいで、それはそれとして見せ場が敷き詰められていて飽きない映画であった。
まぁ、『2』も『3』も同じようなものだが、『4.0』はハイテクやメディアへの警戒感、世代の対比といった共感を得られやすい要素が配慮され、より安定した娯楽になっているように思える。アクションの面白さはいうまでもない。

今回の「敵」は「オッサンには分からない言葉を操る若者世代」というようなイメージだろうか。
アナログのオッサン世代から見た「デジタルを駆使する若者世代」の特徴がくっきりと表れているのが笑えるほどいい。
悪玉の若いやつらなんてほとんど非人間的な、サイボーグとかアンドロイド的な扱いじゃないのか。瞬きしないし。
「人間じゃない」という扱いならブッ殺しても気は引けないということなのか。何しろ「敵」が必要である人たちには、いい解釈かもしれない。
デジタルで情報を操られたり、至るところでカメラに監視されたりしているような現状に不快を覚えている人は多いだろうし、だから素直にアナログ側に共感できる、という構図であろう。
キャラクターの魅力だけではなく、そうした背景を織り込むのは基本的な作劇に忠実な作りで、近頃流行りの日本映画の多くに感じられない部分ではないか。
「鞘に収まった」映画ばかりに見受けられる。

引き起こされる犯罪の規模に比べて、その動機が希薄なのも現代風といえようか。一応、巨大な金が絡んでいるが、どちらかというと「自尊心を傷つけられた」という理由の方が大きいあたりが当世風。
うん、何よりボクちゃんが大事な世の中だ。
アメリカもそういうことになっているのか。
「ハイテクを駆使する若者世代」、その代表の一方が「オタク」で、これは主人公の味方側になる。
何だかんだ言ってもこちらの方がオッサン世代からはまだ近いというか、コミュニケーション出来る、ということになっているのが笑えた。「オタク」の株が上向いているのは海の向こうでも見られる傾向なのだろうか。
幅広い世代に受けようということかもしれないが、娯楽大作としては大事なサービスだ。
しかし何と言ってもサービスはアクションシーンであろうし、過ぎるほどに用意されている。アクションシーンの多くはあまりに荒唐無稽だが、荒唐無稽のレベルを一段ずつ上げていってくれるので白けることもない。
ジェット戦闘機まで登場するあたりはもうアクションギャグ。
合成技術の進歩に驚きつつ笑えた。
しかしあの戦闘機、すごいな。F35というそうだが、ホントにあんな動きが出来るのか。
人殺しのための知恵には事欠かない国だよ、まったく。
でもアクションで一番面白かったのは、軽業師みたいな敵が襲い掛かるところだった。アニメもびっくりのアクロバット。
どうやって撮るのか素直に不思議だが、アクションのバリエーションを考え出す、アイディアのタフさみたいなものに素直に感心してしまった。

劇中、ジョン・マクレーンが口にする「ワシントンD.Cへ犯人を護送するだけだったのに」という泣き言は、映画『16ブロック』のセルフパロディだそう。こちらの映画もコンパクトに面白く出来ているので、これから『ダイ・ハード4.0』をご覧になる方は先に『16ブロック』を予習しておくのもいいかもしれない。
見る順番が逆にすると、荒唐無稽のレベルが下がって物足りなさを覚えるだろうから、両方見たい方は順番を間違えないように。

追記
『ダイ・ハード4.0』が面白かったので、『ダイ・ハード』シリーズを買ってみた。
1から3の本篇と特典ディスクを含む「トリロジーパック」。たったの¥3490。
1作目は既に持っているが、あまりに安いので気にせず購入。昔、1作目を買ったときはこのトリロジーパックよりも高かったのに(笑)
DVDも安くなったものだ。
早速1本目を見返してみた。
今年ロスに行った際、1作目の舞台となった「フォックス・プラザ」(劇中では「ナカトミ・ビル」)を間近に見上げたこともあって、余計に楽しめた。
銃をバンバン撃ちまくったり、ドカンドカン爆発する映画もいいわね、やっぱし。
こういう映画を見たときに言うのか。
「元気を分けてもらった」

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