2008年4月17日(木曜日)

飲み過ぎが誘う奇妙な夢



「ヒゲ」がなくなる夢を見た。
どうやら寝ぼけてすべてのヒゲを自分で剃り落としてしまったらしい。
しかし、大きなショックは感じない。
「どうしたの!?」
「いや……気分転換にさ、うん」
という、この先交わされるであろう会話のやりとりを夢の中で想像して、若干の気恥ずかしさを覚える。
間違って剃り落とした、とはどにも言いづらいらしい(笑)
改めて、ヒゲが亡くなった自分の顔を鏡でよく見てみる。
そこにはよく知っているのに「知らない人」がいた。
「こんな顔だったんだ……」
その違和感は、たとえて言えば、免許証と本人とのズレをもっと大きくしたような感じである。
「これはこれで……いいのか」
と思いつつも一方でこうも思う。
「また伸ばそうっと」

どういう夢なんだか(笑)
何かが「失われた」と見るのか、それまでとは「違う」と見るのか、解釈が分かれるところだが、それほど「しまった!」と感じたわけではないし、「知らない人みたいだ」という印象が何より大きかった。きっと新年度に入ってムサビで新しい仕事も始まったり、新作のシナリオで色々な試みをしたり、あるいは新しい人間関係が生まれたり変化が生じていることに関係しているのかもしれない。
にわか夢判断はこのくらいにしておこう。

昨日は新宿で「十年の土産」準備・運営スタッフで集まって飲み会。場所は勿論おなじみ新宿「上海小吃」。
展覧会が終わってすでに一ヶ月。「打ち上げ」というよりは「同窓会」みたいだ。
19時スタートで、まずは持ち込んだシャンパンで乾杯。
「お疲れさまでした」
という言葉も時期的に大きくピントがずれている気もするが、あくまで「名目」は「十年の土産」の打ち上げである。
正確に言えば「打ち上げの打ち上げ」。
飲むための名目は何でもよろしい。なにがしかの名目でもないと、声をかける範囲が際限なく広がって収拾がつかなくなる。
それでも総勢十数人。
19時から飲んで食べて喋って、気がつけば2時。
喋り疲れたし酒も飲み過ぎたが、たいへん賑やかで楽しい時間だった。
「十年の土産」がなければ、お客さんとの関係が生まれなかったことは勿論のこと、この日集まった画廊関係の人たちやお手伝いいただいた方々、マッドハウスの営業系の人たちともこれほど親しくなることはなかったであろう。
中には、特に親密になられた人たちもいるようで、春に相応しい話である。よきかな。

近年になって、制作現場の人間以外と飲む機会が増えてきた。それまでは、アニメーターや制作といった、仕事上身近な人たちと酒席を共にするのがほとんどだった。
監督という立場上、スポンサーや配給、営業系の人たちとの接触も多くなるし、学校関係の方々やメディア・イベント出演、あるいはウェブサイトが契機となってつきあいが生まれることもある。
こうして実際に自分の仕事が外部へ拡張しているせいもあるし、それに刺激されて意識そのものが外部へも指向してきているのであろう。
制作現場系の人間との飲み会では、話題はほとんど仕事がらみや映画だったりする。これはこれで馴染み深く、狭いが不快話も出来るのでたいへん楽しいものだ。一方、制作現場外部や業界外との飲み会では、大きく違う環境にある人たちの話が何より面白く、またこちらも仕事のディテールを話したところで相手にはよく分からないだろうから、自分の仕事を俯瞰して喋ることが多くなる。って、結局は仕事に関した話が多いのだが(笑)
仕事の詳細よりも、これまでの仕事の全体像などから、業界話に収まらないある種の普遍性を導き出そうとして脳が回転する。この「回路」は業界内部、というか「内輪」では育ちにくいだろうから、外部との接触によって育成されることを期待したい。
こうした意識や考え方のシフトチェンジによって、それまでとは違う角度で自分を見直す機会になる。

ああ、そうか。
だから鏡の中には「知らない人」が見えたのか。

それじゃ出来すぎの解釈(笑)
安直な解釈に飛びついてはいけないのである。

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