1998年2月10日(火曜日)

ガッツなニアミス、あんたバカぁ!?



 2/7、赤坂BLITZでP-modelライブ。内容の方はレイヤーグリーンの物語の最終回ということもあり、いつもより長めに演奏しております、といったライブだった。それはそれでまぁ楽しませてもらったのだが今回の主題とは関係ない。問題はその後の飲んだ席でのことである。まず赤坂 BLITZを出たときに目に飛び込んだのは降りしきる雨である。「聞いてないよ」勝一氏の冗談が正に正鵠を射ている。しかるに近場の飲み屋に入り、まずはビールをあおる。メンバーはP-model、平沢関係のライブではおなじみの友達同士、計5名だ。飲むこと十数分か。入ってくる一団、総計6名。どこかで見たような気がするも私の記憶も定かではない。ましてこちらも飲んでいる席だ、細かい記憶など3杯のビールの前には雑音に等しい。しかし何故か、如何に飲んでいる席とはいっても業界に近い話を避けたのは、私の無意識の警告か。
 普段飲んでいる席での話題といえば業界のバカ話だの噂だの悪口と相場が決まっている。「あそこのスタジオって今何やってんの?」「××ってビデオ」「ああ、あの○○がキャラとかいうやつ」「どうなの?」「もうだめだめ」「やっぱりねぇ、よく作るよなぁ」「スケジュールも崩壊してるらしいよ」等々といった会話が酒の席での枕みたいなもんだ。が、この時ばかりは何故かそんな話題はテーブルには上らなかったのだ。やはり何かその話題を避けるベクトルが働いていたのだと思う。
 酒も進みそんな私の無意識の警告も和らいできた頃。ふと隣に陣取った件の一団の会話の断片が耳に飛び込む。「林原めぐみが……」。ギクッ。もしや私の無意識も捨てた物ではなかったか!? トイレに立ったときその一団の一人と目が合う。誰かは知らぬが覚えのある人。さて一体誰であったか? 何と私のヤングマガジン時代の担当の後輩で面識のある人だと判明。今は「ヤングアニマル」の編集とか。お互い「やぁどうも」。そしてその一団の一人の女性が同時に声を上げる。「あ、パーフェクトブルーの監督の……」そうだそれに間違いはない、自慢ではないがその今 敏だ。と、見ると奥の側に座った一人の女性にも見覚えがあるではないか。それも先日たまたま見たテレビ、昼の小堺の何とかいう番組で見たのだ。なんと宮村優子ことミヤムー、逆か。「あんたバカぁ!?」だな。
そうか、「ベルセルク」、平沢絡みか。あっぶねぇ!何とベルセルク原作者の漫画家もいるではないか。確かシミズケンタロウとか……ッてそれは失恋レストランか。三浦健太郎さんでした。ああ、全く危ないッたらありゃしない。何が危ないんだかはともかく、さすが私の無意識、というより保身のための虫の知らせか。それじゃ言外に違う意味があるみたいだな。いや、別にない、筈、かもしれない。教えない。
 ミヤムーはテレビで見た印象より全然可愛かったな。妻と私の友達の握手にも気軽応じてくれたし、何より自分が出演したわけでもない私の拙作「パーフェクトブルー」をビデオで見てくれたと言うし、おまけに「怖かったです」という、大変嬉しいコメントもくれるとは。私は今後ミヤムーには一票投じることにしよう。何のかは分からんが。
 しかし何だか狭い世界なことだ。私と一緒にいた中山勝一氏は「でたとこプリンセス/第2話」の演出を担当しており、私だって原画で参加しているのだが、その主演声優がアスカことミヤムーである。「“でたプリ”ではお世話になりました」と勝一氏。礼儀は大事だ。しかも勝一氏は最近「ベルセルク」のラフ原画もやっている。私だって音楽クリップの編集もしてたし。こんなメンツで飲んでてよくまぁ隣の一団に絡んだ話題が出なかった物だな。うっかりそんな話題に触れて、いつもの調子で「○○って、ホント××だよなぁ」とか言ってた日には、悪気が無くても角が立つよな、やっぱり。いやぁ、ホントに危なかった、と私は飲み屋のトイレで大笑いだ。それにしても不思議だよなぁ、誰が知らせてくれたのかなぁ、死んだおばあちゃんからかもしれないな。有り難う、おばあちゃん。

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