2008年1月6日(日曜日)

年末年始・その4



まだまだ言おう。
「あけましておめでとうございます」

前回の続き。
大晦日といえば、クラシカルジャパニーズスタイルでは「紅白歌合戦」を視聴するということになっているが、そんなものはもう何年も何年も何年も見ていない。
だいたい何が悲しくて大晦日にテレビなど見るものか。「行く年来る年」ならいいけど。
どのチャンネルに合わせて色盲と思われるほどの極彩色が氾濫し、無駄なライトがピカピカと光っていてうっかり見つめていると癲癇を起こしそうだ。
何が省エネだ。何がモッタイナイだ。何がエコだ。
特に地上波のテレビ画面を眺めていると目が痛くなる。
しかし、忘れていた。
この年の「紅白」には我が兄上が出演しているのであった。
寺尾聰さんのバックとして出る、という情報を得ていたのだがすっかり失念していた。
薄情な弟で申し訳ない。
せめてここで声援の一つもしておこう。
「白勝て」

年が改まり平成20年。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
外に出ると星たちの瞬きが美しい。冷たい夜風が酒でたるんだ頭を引き締めてくれる。
除夜の鐘が、聞こえる。
さようなら、あまり働かなかった2007年。
いらっしゃいませ、仕事に精出すはずの2008年。
満腹していたので、年が明けてから「年越した蕎麦」をいただく。鴨せいろである。家で食べるかもせいろもまた良い。
本来、年越し蕎麦は年を越す前に食べるものだ。
ウィキペディアによると「年を越す前に食べきらなければならず、蕎麦を残すと翌年金運に恵まれないなどと言われる」そうだが、金運には元々縁がないのでどうでもいいや。蕎麦をズルズル。ああ、美味い。

大晦日、テレビは全然見なかったが、代わりに意外な物を見た。
ゲストの娘御が1話しか見たことがなく、2話を見たいということだったので、久々に『妄想代理人』を見てみた。
どこが年越しなんだか。
自分が監督したアニメーションを自宅で見ることなど滅多にないし、見ているとすぐに仕事モードになってしまう。
だが、酔っぱらってるのでそれもまた良かろうと思った。素面では辛かろう。
ご所望ということもあって最初に2話「金の靴」を見たのだが、これがけっこう面白い(笑)
制作当時はひたすら「まずい点」しか見えなかったのだが、制作からすでに3年以上経っているせいか、半分くらいは他人事のように楽しめる。
2話は一ヶ月で作ったとは思えないほど、「ちゃんと」出来ている。
背景も頑張っているし、何より作画の健闘が目立っており、イッチーの気の毒な姿が浮かび上がっている。意地の悪い話だな、まったく(笑)
ゲストの新作作画監督も一緒に『妄想代理人』を作った仲間で、彼も制作から時間が経ったせいか「笑って見られる」という。
いや、ホントホント。笑える。
過ぎたことを笑えるのは健康の証であろう。

2話を見ていたら、1話も見たくなった。
1話を見たら13話も見たくなった。
自分で言うのもなんだが、見ていて正直こう思った。
「けっこう頑張っているじゃないか」
派手さがあるわけでもないし、物足りないところは多々あるが、どのカットも工夫の形跡や担当者の労力や頑張りが見える。
何よりシナリオが踏ん張ってくれている。
調子に乗って9話と10話も見てしまった。
これがまた面白く、素直に楽しめる。
特に10話は「身につまされて」面白おかしい。ひどくたちの悪い冗談だなぁ(笑)
作っている当時は全体に軽い冗談の乗りだったのだが、改めて見るとあちこちにたちの悪い冗談が混じっているのに軽く驚いた。
『妄想代理人』を見ていたら、またテレビシリーズも作ってみたくなった。
だがだがその前に。
今年は新作長編を本格始動だ。
決意も新たにして、宴会は朝方5時過ぎお開き。
よく笑った笑った。実に楽しかった。
まことに良い年越しであった。

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