2008年3月10日(月曜日)

「十年の土産」九日目



連日接客と宴会で楽しみすぎて、寝て起きても「フルチャージ」出来なくなってきていますが、この日も天気が良く、励まされた気持ちになりながら新宿眼科画廊へ。
と、開場前から待たれている一人のお客様がおりました。
前の日にサインをしながら少しお話をした女性で、印象に残っていた方なので話しかけてみたところ、予想していた通りのお答えが。
「『千年女優』のセルが欲しい」
ありゃま。申し訳ない。
ウェブで告知していたので、そういう方もいらっしゃるかもしれないとは思っていたのですが、よもや「一時間半」も前から待っていてくださるとは。
この方は『千年女優』がたいへんお好きだそうで、何十回と繰り返し御覧になっているとか。
制作中、編集やアフレコ・ダビングで何度となく映像は見ましたが、監督だってそんなには見ていない(笑)
飽きずに何回も何回も見てくださる方がおられるとは、まったくもって千代子は果報者です。
制作者の一人として、とても励まされました。
『千年女優』セルのファイルは無事、彼女のものになりました。
大事にしていただける方の手に渡って、さぞやセルも喜んでいることでしょう。

そんなお客様の力もあってか、この日はどういうわけか『千年女優』に傾いた一日でした。
セルをお買い上げくださった女性から始まり、15時過ぎには『千年女優』で「立花」を演じてくださった声優の飯塚昭三さんがお見えになりました。
お越しいただけただけでも嬉しい限りなのに、差し入れまでいただき、挙げ句に「マッドハウスプラス」と『千年女優』DVD2枚をお買い上げに。
まさか飯塚さんからお代をいただくわけにはいかないので、差し上げようとしたのですが、どうしても言うことを聞いてくれない(笑)
結局、お代をいただくかっこうになってしまいましたが、そういう律儀さが飯塚さんらしい。
何だか「立花」や「猪狩」相手に、「払う」「いえいえ、とんでもない」「いいや払う」「だめですよ」「払うったら払う」といった押し問答をしている気分になりました。
せめてものお礼に、「立花」のセルにサインをお入れして贈らせてもらいました。
ファイルから一枚、快くセルを提供してくれた方にもお礼申し上げます。

昨日、ニュースで知ったのですが、声優の広川太一郎さんがお亡くなりになったとのこと。
68歳といえばまだまだお若いのに。
飯塚さんから、広川さんとのモンティパイソン時代のエピソードをお聞きし、その茶目っ気と美声に生で触れることが出来なかったことが残念に思えてなりませんでした。
ご冥福をお祈りいたします。

飯塚「立花」昭三さんがお帰りになった後でご来場になったのが、何と少女時代の「千代子」を演じてくれた折笠冨美子さん。
会場にお花を贈ってくださっただけでも感激でしたのに、よもや本人がお越しくださるとは。
事前にメールで「日曜日辺りにちゃっかり観させていただきたいなと思ってます」とお知らせいただいていたのですが、お忙しい方ゆえ話半分に思っておりました。たいへん失礼いたしました。
時間をかけて絵も見ていただき、本当にありがとうございました。
折笠さんが千代子の絵を見ている様に、感激させてもらいました。

飯塚さん、折笠さんお二方とも事前にいらっしゃる旨お知らせいただいていたので、会場でお二人が揃われたらさぞや素晴らしかろう、とも想像したのですが、そこはやはり「立花」と「千代子」。
「出会えない」というのも『千年女優』らしいのかもしれない、と思ってなんだか『千年女優』の磁場を感じて微笑ましい気持ちになりました。
飯塚さん、折笠さん、本当にありがとうございました。
「立花」も「千代子」もさぞや感激していることと思います。

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