2008年4月9日(水曜日)

入学おめでとうございます



今日は私がアニメーション学科の講師を担当している専門学校・アートカレッジ神戸の入学式とのこと。
新入生の皆さん、入学おめでとう。
アニメーション学科新入生の皆さん、講義で会える日を楽しみにしています。

残念ながら私は入学式に出席しないが、代わりにメッセージを読み上げてもらうことになっている。さらに申し訳ないことに、このメッセージは去年と同じものをわずかに修正したもの。
まっさらな(ということにしておく)新入生に対して、一度手垢がついた言葉を贈るのは心苦しい気もするが、自分でも気に入っているメッセージなので「敢えて」使い回しすることにした。
決して、時間がないとか新作のシナリオのことで頭がいっぱいであるとか、そういうことではない。全然ない。断じてない。
これだけ否定すると、却って「そうだ」と言わんばかりであるが、半分は本当だ。

メッセージはあくまでアートカレッジ神戸の新入生に宛てて書かれたものだが、消費者世代といわれる現在の若者たちに向けて「とっても分かりやすい」メッセージではないかと思われる。
内容的にはまっさらな(ということにしておく)新入生歓迎式典にあまり(というか全然)相応しくないものかもしれないが、たいへん「今 敏らしい」態度にも思われるので、このブログでも紹介してみる。

以下、今 敏なりの「新入生へのメッセージ」である。

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 みなさん、入学おめでとうございます。
 これから始まる新しい生活や環境に、みなさんはさぞ、希望や野望に胸を膨らませていることと思います。

 アートカレッジ神戸で才能を開花させて学生のうちにデビューを夢みる人もいるでしょうし、彼女や彼氏を見つける欲望がいっぱいに膨らんでいる人もいるでしょう。アルバイトに精を出して新しいゲームやパソコン、携帯電話などを手に入れたいという物欲がマグマのように噴き出している人だっているでしょう。
きっと、楽しいことがたくさん待っているはずです。

しかし、本学での生活は2年間しかありません。たったの2年です。その後には就職というクールな現実がみなさんを待っています。
 この2年間は社会人になるまでの間に与えられた猶予期間ではありません。つまり、働かなくてはならなくなる前に2年間だけ「遊んでいてもよろしい」、というわけではない。当たり前です。

 この2年の間にみなさんは社会人になるための準備をしなくてはなりません。その準備が具体的にどのような内容になるか、それはそれぞれ異なると思いますが、どのくらい大変な量になるかはある数字によって客観的に計ることができます。
 みなさんが2年間を過ごすための経費、ぶっちゃけていえばお金です。
 入学式という晴れの舞台で、生臭い話をするのも大人げがありませんが、みなさんは消費世代の申し子ですからこの方が分かりやすいでしょう。

 家に帰ったらこんな計算をしてみてください。
2年間の授業料、交通費、生活費、その他色々などを足したその合計が2年間の経費です。その金額はなかなかの大金です。
さて、その額をアルバイトで稼ぐとしたらどうでしょう。みなさんが手に出来るアルバイトの時給で、その合計金額を割ってごらんなさい。気が遠くなるほど働かなくてはならないでしょう?

 ということは、みなさんは2年間の学校生活の間に、先の大金を稼ぐための労力と同じくらいの勉強や努力をしなければいけない、ということです。
 そうじゃなければ、支払われる金額に見合わないですよね。そういう損な「取り引き」は誰だってしたくない。
 2年間に支払われる金銭をいかに有効に使えるか、それはみなさんがいかに学ぶかによって決まります。
 願わくは、経費を遥かに超えるほどの知識や能力や技術を身につけてください。

 では、なるべく「お買い物上手な人」になれるよう、健闘を祈ります。

 今 敏

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ね? 「とっても分かりやすい」でしょ?

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