1997年12月25日(木曜日)

’97を振り返る



 今年も終わろうとしているので、年末らしく今年を振り返ってみることにしようか。いやはや何とも多忙を極めた年であった。去年から引き続きでパーフェクトブルーの仕事に追われるように始まった今年。ゼロ号試写が終わるまではろくに休みも取らなかった、というより休んで家にいるよりもスタジオで仕事をしていた方が精神衛生上よろしかったと言える。まあ、この辺のことは「パーフェクトブルー戦記」に詳しく書いていこうと思っているので、パーフェクトブルーの仕事が終わってからを振り返るとしよう。となるといきなり8月ということになる。作品完成後の社会復帰の第一弾として本格的フルデジタル劇場超大作「スチームボーイ」への参加を決めてみる。なんだか大変そうだぞ。なんといっても「バンダイの野望」の一環らしいからな、それはすごいことになるだろう。がんばってみようっと。
 「スチームボーイ」と同時に依頼された件が「PARCO PRESENTS デイジーVISIONS 大友克洋とデジタル新世代展」の仕事。現在渋谷のパルコ・パート3で開催中ですのでお暇な方はどうぞ。私が頼まれたのは同展のスクリーンで上映する「デジタルカットのメイキング」というビデオの監修。曖昧だな、「監修」というのも。私の作品というわけではないのでつまらなくても私に文句は言わないように。パーフェクトブルーの展示もありますが、これに関してはほとんど何もやってません。セルと背景を組んだくらいだ。クミが合わないカットが多くて苦労したなぁ……って、それが何で私の仕事やねん?
 それとこの展示会に付随して行われた「トークショー」とやらにも出演。大友氏、森本氏とともに最近の業界事情だの制作の苦労談などについてトークしてみた。変な仕事。会場には熱心な若者たちが詰めかけてくれたようで、質疑応答でもまじめな質問が多く大変楽しませていただいた。「どのくらい儲かるんですか?」言えるわけがないだろう。「超能力があったら何をしますか?」そういうことは藤子不二雄先生に聞いて下さい。ただしAの方。Fの方に聞くにはそれこそ超能力が必要です。
 さらにやはりこの展示会に絡んで森本氏と二人でテレビにも出てみた。テレビ東京深夜のとある番組。放送は既に終了しているので探さないで下さい。オンエアをちらっとチェックしたのだが、長髪を後ろで縛り、眼鏡をかけ、ひげを生やした小さいのと大きいのが並んで映っており若干笑えた。
 現在日本テレビ深夜に放送中のアニメ「剣風伝奇ベルセルク」というのがある。早とちりしないように。本編には何も関係してるわけじゃない。レンタル店によくある無料貸し出しのビデオに納めるとかいう音楽クリップの編集をしただけだ。何故にそんな仕事を引き受けたかと言えば、この作品の音楽が平沢だったというだけ。平沢 進とは何者かというと、ご存じ無い方のためには説明しない。とにかく私が普段愛聴しているミュージシャン、本人曰く「メディア使い」だそうだ。その平沢の曲に合わせて、放送済みの5回分からカットを編集したのだが、興味のある方もない方も見ないでよろしい。なぜなら私の意図してもいないカットが一つ混じってしまっているからだ。ほんの数フレーム、赤と青のパカパカが入ってしまった。やめろって。ともかく入れた覚えのないカットが混じってしまったので、この上もなく格好悪い。どうして私の仕事には、こうした普通ではあり得ない間違いが多いのか。奴らの仕業か? 誰だ?奴らって。「ミレニアム」の見過ぎか。最近はまってます。
 あまり大きな声では言えませんが原画の仕事もしてみました。パーフェクトブルーで原画をお願いした、酒飲み友達にして温泉番長、観劇隊長にして平沢仲間の中山勝一氏がビデオアニメのコンテ・演出をするというので、心ばかりのお返しのつもりで引き受けたものの、他の仕事に圧迫され返って迷惑をかけてしまった。10何カットか描いてみましたが、ほとんど動かせなかったのでほろ苦い原画デビューとなってしまった。だいたいあのキャラは私には描けません。ちなみに作品は「でたとこプリンセス/第2話」。私は別にしても原画のスタッフは豪華なようなので、興味のある人はチェケラッ!
 他に仕事といえば、やはりパーフェクトブルー絡みということになる。まずはポスター、カレンダーに使用するということで数枚の描き下ろし。ラジオドラマ「ダブルバインド」のCD化にともないキャラクターのデザインとイラスト。仕事とも呼べないような仕事として数々のインタビュー……とまあ、そんなところか。あと年内に控えてるのがイベントの出演と忘年会か。がんばろうっと。
 そういや、新作の企画というのも進行している。内容は言えないが、運が良ければそのうち日の目を見るかもしれないがどうなることやら。来年に期待。

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