1997年12月30日(火曜日)

リアルチャム



 28日朝。酒が抜けていないではないか。それもそうか、年末の鉄則に従い朝の4時近くまで吉祥寺のいつもの店で飲んでいて、起きたのは珍しくも午前の10時。酒も眠気も抜ける訳がない。何故に早起きかと言えば日曜日だというのに仕事だ。ああ、かくも今年は休みの少ない年であるか。さて赴く先は有明はビッグサイト。勘の鋭い方かその筋の方にはご存じの同人誌の聖地であり、この日はその聖典の初日である。コミックマーケット、いわゆるコミケだ。私を知る人にとっては、およそ私には不似合いの場所であるにも拘わらず何の仕事で行くかと言えば、無論コスプレ。着るのだ、キャプテン・ハーロックの服を。これまで人には内緒にしてきたがそういう仕事もしているのだ、私は。何を言っているのだ。本当はパーフェクトブルーのイベント。レックスが作品の宣伝のためにブースを出展しておりそのゲストとして呼ばれたのだ。モデルの女の子を雇って本編に登場するアイドルグループ「チャム」に仕立て上げ、架空のラジオ番組という設定で生放送をするという、いかにも「オッサン」の考えそうなアイディアだ。言いたいことは色々あるが私も既にオッサンの仲間入りをしていることだし素直に騙されていることにする。ああ、楽しそう。
 リアリティを感じないビッグサイトの建物そのものにも驚かされたが、生まれて初めて見るコミケは私にかなりの衝撃をもたらせた。テレビや雑誌が伝えるコスプレより生の方が何倍ものインパクトがあるではないか。自家製なのか特注なのかも定かではないが、それらの衣装は縫い物というより工作に近く、見ているだけで実に楽しい。何を元にしたコスプレなのか見当もつかないが、とりあえず綾波とアスカくらいは私にも判別がついた。もちろん衣装で、だ。キャラは作監が必要というより、全修した方が良いとは思うが、「オトッツアン、それは言わない約束よ」というものか。ブラックジャックの姿も見かけたが、コスプレして楽しいのか?あのキャラクターって。また売られている同人誌も噂には聞いてはいたが、その数といい体裁といい、そこにかけられた手間と暇と情熱は並々ならぬものでおそれ入谷の鬼子母神。決して侮ることなど出来はしない、と再認識させられる。日本は平和だ。不景気などどこ吹く風さ。
 物見遊山のつもりで来たが一応仕事もしてみる。30分のラジオ番組という設定で2回、セットの中に入り肌の露出部分が多い衣装のチャムの3人に囲まれ、キャバクラ状態で楽しいトーク。トークの弾むこと餅のごとし。しかもつきたて。辛いな。衆目の監視するところでの喋りは未だに苦手だ。もっとも私ではなく注目されてるのはチャムなのだがな。とは言えなかなか不思議な《婉曲な表現》目つきの方もおいでのようで、落ち着かない30分であった。

comike
おお!フィルムから飛び出してきたようぢゃないか。

 2回とも好きな曲を一曲ずつかけて良いということになっていたので、当然のごとく平沢の曲をかける。1回目はP-modelで「Layer Green(オリジナル・バージョン)」、2回目は平沢ソロで「Lotus」。ちなみに会場では平沢関係の同人誌も販売してる人たちも沢山いらっしゃいましたが、私は冷やかしに行っただけで買いはしませんでした。ごめんなさい。
 レックスのブースで販売していた「コミケ限定CD-ROM付きカレンダー」「テレカ付き映画前売り券」の方も、若干無謀とも思える価格設定にもかかわらず多くの方に購入していただいたようで、本当に有り難うございました。購入された方が、もしも後になって腹が立ったり、映画を見て憤懣やるかたないという激情に突き動かされても決してその矛先を私になど向けないように。何故ってそれは全部レッ

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