2002年8月27日(火曜日)

近況



KON’S TONE書籍

 以前うちの掲示板でもご紹介させていただいた、私の書籍の仕事もありました。
タイトルについては掲示板読者の皆さんにもアイディアを賜りましたが、商業的な理由などからもたいへん分かりやすいタイトルに落ち着きました。
『KON’S TONE 「千年女優」への道』(晶文社・¥1800・9/14発売予定)
こちらは書き下ろしやあとがきのテキストはもちろん、ゲラチェックなど私の仕事は終わりました。
 内容的にはイラストがカラーで8枚、他は皆テキストです。内容はこちらでも紹介しております。
「千年の遙かなる呼び声」というホームページ上では中途で放り出されているテキストを増補改訂。制作記録ではなく、「千年女優」の物語誕生までのプロセスを記してみました。
 この書籍のために「パーフェクトブルー戦記」を久しぶりに読み返していたら、あまりにひどい制作現場の様子に胸が悪くなりました(笑)いや(泣)。書籍版では内容は読みやすくシェープアップされています。
 カバーイラストは以前当ホームページの表紙を飾っていたこともある「月にウサギ」の絵。書籍表紙用にデータをリファインしました。同じ絵柄ではあまりに芸がないと思い、「月にアンモナイト」というバージョンを作ったのですが、あまりに意味不明(笑)という理由からカバーは「月にウサギ」に落ち着き、アンモナイトバージョンは扉絵に使用されています。
 一部ではこの眼鏡をかけたウサギは私に似ているといわれています。言われているうちに私も「あれは自画像である」と胸を張るようになってしまいました。
ブックデザインは平沢ファンにはお馴染みの稲垣 潔さん。中味のオバカさを補ってあまりあるほどかっこいいデザインです。買ってね。


「ウサギにアンモナイト」バージョン


東京ゴッドファーザーズ

 そして何といっても新作「東京ゴッドファーザーズ」の制作も忙しく……忙しくなってないと困るのですが、千代子の世話に追われていて作監・演出・美監様に面倒を見てもらっています。
 私のレイアウトチェックも溜まっているのですが、細切れにされた時間の中で集中して絵を描くのは難しいので原画チェックが中心になっています。今回の原画上がりはどれも実に楽しく、原画マンの面子も非常に心強い人たちばかりです。
ここで改めて「東京ゴッドファーザーズ」のスタッフ編成を紹介させてもらいます。

企画 丸山正雄
原作 脚本 キャラクターデザイン 監督 今 敏
脚本
(共同) 信本敬子(「白線流し」「カウボーイ・ビバップ」)
キャラクターデザイン
(共同) 作画監督 小西賢一(「となりのヤマダ君」「千年女優」原画・作監)
美術監督 池 信孝(「パーフェクトブルー」「千年女優」)
演出 古屋勝悟
(「人狼」作監補、「千年女優」原画・作監)
色彩設計 橋本 賢
(「パーフェクトブルー」「千年女優」)
撮影監督 須貝克俊
(「カウボーイ・ビバップ」「ラーゼフォン」)
音響監督 三間雅文(「パーフェクトブルー」「千年女優」)
制作プロデューサー 豊田智紀
(「千年女優」)
製作 GENCO
(「千年女優」)
制作 製作 マッドハウス
(「パーフェクトブルー」「千年女優」他あまりにたくさん)

 現状フィックスしているメインスタッフは概ね以上で、音楽などはまだ未定。
豪華なメインスタッフといえる布陣ですが、今回特筆すべきはやはり原画スタッフでしょうか。完成後、宣伝の際には原画マンの名前が売りになるのではと思えるほどの陣容です。(以下、敬称略)
大塚伸治(「平成狸合戦ぽんぽこ」作監)、安藤雅司(「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」作監)、濱洲英喜(「パーフェクトブルー」「千年女優」作監)、井上俊之(「彼女の想いで」「千年女優」作監、「人狼」副作監)を初め、川名久美子数井浩子鈴木美千代藤田しげる(「メトロポリス」作監)など錚々たる面々がメインの原画マンとして素晴らしい仕事をしてくれています。
 また外部スタッフにも劇場作品の作監経験者などが多数参加。
お陰で監督の仕事は随分と楽になっています(笑)
本来制作の山場を迎えてチェックに追われていなければならない状況にも拘わらず、「千年女優」の宣伝に時間を割かせてもらえるのも、こうした素晴らしい原画マンとメインスタッフのお陰です。
 正直な話をすれば、「千年」の成果次第で「東京ゴッド〜」の先行きも大きく変わってくるので、千代子には頑張ってもらわないと困るのです(笑)。
しかし、いかに素晴らしい原画マンが参加してくれていると言っても、残念ながらいまだ全923カットを埋めるには至っておりません。業界は人手不足です。
 原画経験者募集。

「千年女優」の公開が終われば「東京ゴッドファーザーズ」の制作がいよいよ忙しくなります。来るべき山場に備えてパソコンも新調しました。私個人で仕事場用にG4のデュアルを買いました。新宿のヨドバシに買いに行ったら、ちょうどその日アップルの新型が展示されていましたが、そんなものには目もくれず10万円も値が下がっていたデュアルを買いました。21インチモニタもゲット。
ゲットしたのはいいのですが、OS-Xをいじり始めたらよく分からないことになって、2日3日かけてパソコンと格闘して時間を奪われてしまいました。
「何だこのOS-Xのオモチャみたいなインターフェースは」と毛嫌いしていましたが、使い始めると物珍しさも手伝って使ってみたくなりました。もっとも仕事では相変わらずOS9を使っていますが。

godfathers
「東京ゴッドファーザーズ」企画書のためのイラスト


顔も見ぬ新作

 新作「東京ゴッドファーザーズ」がまだまだゴールが見えないにもかかわらず、もう早さらなる劇場新作の話が聞こえ出しました。
 作ることは決まっていて、器に盛るものはまだはっきりしていませんが、「ファミリー向け」を予定しています。あ、モニター前のあなた今笑いましたね。私がそんなものを作るはずがないと思っていますね。その通りです。いえ、ウソです。きっとファミリー向けになるはずです。ジュブナイルです。少年の成長と冒険、愛と勇気の物語です。漫画映画の王道です。多分。変わるかもしれませんが(笑)
 まだ顔も見えぬその新作は、来年「東京ゴッドファーザーズ」制作終了と共に制作開始予定!!……大丈夫なんでしょうか、私(笑)

 それらに加えて、さらにまた自分の首を絞めるような企画を立ち上げてしまっています。テレビシリーズ13本で、私のオリジナル企画。私は原作・プロデュース。監督はしませんが、シリーズ構成と脚本まではなるべく関わりたいと思ってしまってます。
 内容は詳しく紹介できませんが、「パーフェクトブルー」系統のホラー風なものです。
 元もと私が漫画用に考えていたネタから「パーフェクトブルー」に随分アイディアを流用しているのですが、その元になった漫画の別な発展形が今回の企画で、かなり変則的なストーリーです。主人公は一応いるのですが、「事件」そのものが主人公といってもよい。ささいな出来事に端を発した事件が思わぬ形であちこちに波及して行く、というのが基本コンセプトです。「風が吹けば桶屋が儲かる」式とでもいいましょうか。
 なので毎回の話数毎に見かけ上の主役が変わって行くことになり、以前からやってみたかった「主人公リレー方式」が実現できそうです。まぁ、最後にはブーメランのように発端になった人物の元に災厄は戻ってくるのですが。
 ただ一話完結に近いスタイルなので、話数毎にかなり好きに出来そうな企画だと思います。演出、作監希望者がおられましたら是非ご一報下さい。
第一、まだ「監督」が決まっていません。誰かいないでしょうか。

 以上が、現状私を取りまいている仕事や仕事の予定たちです。
 こうして自分で書いていて来るべき仕事量に改めて驚いています。

 ホントに大丈夫なんでしょうか、私(笑)

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