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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2009/1/17 19:26
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「千年女優」舞台版、僕も初日に観てきました。

映画版の「千代子がいろいろな人を演じる」という骨格が舞台版では「いろいろな人が千代子を演じる」という正反対の演出を得たことで、見事に奪胎換骨されていてとても楽しかったです。

「千代子という女優」を「5人の女優」がそれぞれに備え持った人間性をさらけだし、身体をしならせ、感情をうねらせて演じているのを観ていると、映画版のラストシーンでチープな自己愛や現実逃避ではなく、自分を愛することの意味を知った上で、そのことに責任を持って旅だっていった千代子の「ひたむきさ」を受け継いだ女優さん達による、「メビウスの輪の先にある映画版の続編」のようでもあり、「鑑賞者としてのそれぞれのAnswer」のようにも思えました。

開演前には頭の中がハテナマークでいっぱいだったのですが、「女性5人で千年女優」という無理難題がさまざまな知恵や工夫、そしてひたむきな思いによって再構築されていく様子を見ていると、終わる頃には「千年女優は女優5人だからこそ舞台化できた」と強く思ったほどでした。


頭の中でぼんやりと像を結ぶことはあれ、決して実在はしないと思っていた「千年女優」舞台版という鏡の向こうの左右反転した世界が、役者さんや演出家、舞台美術、照明、音響、衣装(衣装!)、素晴らしいスタッフワークにおいて眼前に立ち現れ、映画版と舞台版という合わせ鏡の中で、とめどなく心を揺さぶりかけてくる千代子にふたたび出会えたことが本当に嬉しかったです。

奇しくも阪神淡路大震災から15年目を迎える今日という日に神戸で立ち上げられた劇団によって地震が核となるストーリーが演じられるというのは、なにかとても奇妙な、それでいて強い縁を感じましたし、あの女優さん達の生きる様を見るにつけ、それが阪神間に住むものにとっては励ましのメッセージのようにも思えました。


終演後、本当に不義理でぶしつけながら監督に声をかけさせていただき、お話できたことに感謝しています。

平清盛の溲瓶や岩見重太郎の草鞋を買いあさるような間の抜けた日々を送っている僕にとって、お大名様とお話できたばかりか、この太鼓を300両で買ってくださるだなんてぇ、み、みず一杯ください………ふぅ。すいません。僕まで千年女優の中にとりこまれ、少し取り乱してしまいました。反省、半鐘。


長々と書いてしまいましたが、劇場でみなさんとしあわせな時間が共有できて本当にうれしかったです。

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