2008年1月3日(木曜日)

年末年始・その1



あけましておめでとうございます。
旧年中はお世話になりましたが今年はもっとよろしくお願いします。

さて年末年始というと胃腸の悲鳴がそこかしこで聞こえ、その絶叫が駅のホームに数多の花火を破裂させる季節。
私の内臓も毎日不平不満を漏らしている。
「アルコールを流し込む量を少しは控えろバカヤロウ」
身体の一部からバカヤロウ呼ばわりされても仕方ない日々である。
なんかっちゃあ、酒だ。
宴会で酒、家で酒。
このテキストも酒を飲みながら書いている。
実に年末年始らしい。

以下、胃腸たちの激戦の記録。
12月28日はマッドハウスの大忘年会。
「大」の字にふさわしい盛況ぶりである。中野サンプラザの大広間に200人からが参加していたのではなかろうか。
去年はろくに仕事もしなかったのでただでさえうちの班は存在感が薄く、忘年会の大人数に埋没してしまうと「いない人たち」にされてしまうかもしれないと思い、この日は「マスコット」を用意した。
「ゴスロリ」の娘。
近頃このNOTEBOOKにも度々登場している声優志望の娘さんである。
クリスマスパーティの「メイド服」、忘年会の「ゴスロリ」と目を楽しませてくれる娘さんだが、そろそろそういう格好もキビシイお年頃。しかし見た目は……まだ大丈夫……かな。
ともかく、忘年会や打ち上げにあっても普段の地味な服装で現れるアニメ業界人の中ではたいへん目立つだろうという戦略である。ウソウソ。そんな戦略はない。まぁ、その方が面白いのは間違いないが。
だいたい別にうちの班が目立つ必要などない。忘年会場で陣取った席ももっとも隅のテーブルである。

案の定、ゴスロリ娘は目を引いたようだ。
知らない人のカメラに収まったりしているし。よしよし。そうして営業をしてきなさい。
今年から本格的に始動する新作、そのスタッフ集めの戦略の一つをこのように定めたい。
「若い娘との交流が多い班」
どうだ。
そして同時にもう一つの戦略はこうだ。
「若い力も是非」
実際、次回作はこれまでよりもスタッフの平均年齢が下がりそうな気配。
うちの班も私の脳も新陳代謝が必要である。

忘年会につきものといえばビンゴであるが、私はこれまで幸運に恵まれたことはない。
うちの関係では美術監督の池さんが見事にiPodタッチをゲット。
池さん曰く、「これでやっとカセットの生活とおさらばできる」
もっと早くしておきなさい。
ビンゴには当たらなかったがありがたい物をいただいた。
「社長賞」
マッドハウス社長の独断で選ぶものらしい。
今年は『デスノート』と『パプリカ』。
『パプリカ』は一昨年製作の映画であるが、今年日本を含め57カ国もでリリースされ、マッドハウスの名を世界に広げたという点が評価されたらしい。
ありがとうございます。
『パプリカ』のためによく働いてくれたスタッフを代表して感謝いたします。
ろくに働かなかった人まで代表する気はないが。

忘年会には、今年の4月から入社する新人たちも顔を揃えていた。
次回作に参加予定の新人は二人。うち一人は社員の制作、もう一人は……どういえばいいのだろう、新人のフリーランスということになろうか。
いずれの新人も次回作のプロデューサーが目にとめてくれた有望な人たちで、たいへん良い子たちである。
絵描きの方は、新人で実践的な能力は未知数だが、びっくりするくらい絵が上手いので、次回作には即戦力として参加してもらう予定。
制作の方は、何より仕事にかかわる態度が良さそうである。
参加の経緯は省略するが、プロデューサーが機転を利かせてくれたおかげで私が直接会って、彼らの参加を強く希望した二人なので、是非活躍を期待したい。
『パプリカ』制作中、新たに連れてこられた制作の新人は二人いたのだが、いずれも三ヶ月も持たず、ろくに仕事もせずにリタイアした。
接した時間も使われた予算もまったくの無駄だった。
同じことになれば私まで人を見る目がないことになる(笑)
そういう意味でも頑張っていただかないと困る。

マッドハウス忘年会は恒例の「五本締め」で賑やかに終了。
帰り際にはマッドハウス特製のパンフレットをもらう。
いつの間にこんな立派な物を作っていたのだろう。
代表取締役を始め、制作・営業・総務などの社員スタッフが対談やインタビューが収録されたパンフレットである。
営業系のプロデューサーH氏のコメントがいい。
「荻窪から世界へ」
スケールが大きいんだか小さいんだか。

外に出ると、雨。
二次会の飲み屋まで足早に移動する。
二次会参加者は総勢20名を越えていたろうか。
「オハヨウ」や『パプリカ』、次回作への参加が決まっているスタッフを始め、うちのマスコットであるゴスロリ娘、さらにその友達も途中参加、それに総務や新人などの混成メンバーである。
テーブルは二つ。こういう場所では「今 敏」の態度を大きくしておいた方が場も収まるので(本当にそうかどうかは分からないが)、私は場慣れしていない新人たちの「接客」をする。
お客さん扱いしてもらえるのはこれ限りだと思いたまえ。
もっとも、一年後まで新人が残っているかどうかも分からないが。
二次会の居酒屋で自己紹介などを交えて飲んで歓談。
出たのは深夜2時くらいだったろうか。
雨が激しい。
この時間では家に帰れない人も多いので、始発まで付き合うことにする。
この時点でも十数人は残っていたろうか。
総務の方が店を探してくれる。
「では、こちらへ」
おお、飲み会の仕切りとはこういうものだ。
てくてく歩いたその先は。
「カラオケ」
三次会の定番だ。
二部屋に分かれて収まり、熱唱が始まる。
酒が回っているのでたまにはこういう宴会も悪くない。
さて、何を歌って「もらおうか」。
何しろ声優志望の娘がいるのだからな。この娘はある映画がきっかけでアートカレッジ神戸に来たのだったな。
曲のリストをパラパラ……。
そういえば、うちの班に配属になる新人もマッドハウスを志望するきっかけになったのは同じ映画だと言っていたな。その映画とは。
『千年女優』
そうとなれば、これしかないな。
「ロタティオン」
歌いたまえ。
だが、「オハヨウ」作監、曰く。
「今さんが歌いたいんでしょ(笑)」
まぁね。

持ち回りの熱唱が続くこと3時間程か。
アニメソングのリクエスト率が高くなるのはやはり業界らしいところ。
いまの業界人も昔のファンである。
始発も動きだし、長かった忘年会もようやくお開き。
一年を忘れるには十分以上に長い宴会であった。
同じ武蔵野方面のメンバー4人が乗り込んでタクシーで帰宅。
うう、さすがに疲れた。
胃腸もマイクに向かって絶叫しそうだ。
「バカヤロウ!!」

長くなったので、続く。

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