2008年4月14日(月曜日)

典型的な日曜日



ここのところシナリオとの格闘が続いているせいか、頭が疲れているようで、昨日は日曜日らしく昼までグーグー寝る。
睡眠時間が長くなると妙な夢を見る。
妙に生々しい夢で、起きてあれこれ考えをめぐらすが、健康的な解釈は出てきそうにない。ぼんやりと放っておくことにする。
日曜日の一食目に相応しく、鳥せいろそばをいただく。
鴨せいろの「鳥版」である。山盛りのそばをツルツルと食する。
日曜日の午後は、テレビには何も映っていないに等しく、ケーブルテレビでひとしきりニュースを見た後は見るものがない。
DVD付属の特典映像でも見てみる。
岡本喜八監督の「戦場編BOX」収録の特典ディスク「喜八監督がいた」を、見ながらそばを食べる。
ちなみに、このBOXに収録されている映画は『独立愚連隊』『戦国野郎』『赤毛』『独立愚連隊西へ』『血と砂』。『愚連隊』と『愚連隊西へ』はDVD購入以前に見ており、特に『愚連隊西へ』が大のお気に入り。見て気分の良くなる日本の戦争映画は希有ではなかろうか。
『赤毛』や『血と砂』もたいへん面白く観た。
たまたま先日、やはり岡本喜八監督の『斬る』『大菩薩峠』を続けて観たせいもあって、最近ふたたび喜八監督への興味が盛り上がっている。この2作も傑作。
これまで見ていなかったことが恥ずかしくなるくらい面白い映画だった。

さて、そばのお供の特典映像。
映像の「作りの安さ」には、見ていて少々気恥ずかしささえ覚えるが、喜八監督を敬慕するスタッフの創意工夫であり、熱意であると解釈しておく。
関係者のインタビューや仕事場の風景などに、喜八監督の人柄や仕事に対する姿勢が感じられる。
喜八監督といえばいつも全身「黒い服」、そして「ヘビースモーカー」。親近感を覚える(笑)
自宅の3階に作られた、屋根裏部屋のような仕事場で、シナリオを毎日30枚(ペラ=200字詰め原稿用紙)書いていた、という話に驚かされると同時に、我が身が情けなくなる。
毎日30枚。
うーん……シナリオで頭が疲れているなんてとても言えなくなる。
「よし!私もシナリオを頑張るぞ!……明日から」

2月、3月と「十年の土産」の準備や開催で忙しく、全然本を読んでいなかった。
せめて月に10冊くらいは本を読むことにしているのだが、ペースはがた落ち。
回復を図るべく読書に勤しむようにしている。
本を読むためだけに本を読む時間を作る、という習慣はないので、たいていは何かをしながらということになる。電車の中、トイレ、風呂、寝る前が主な読書時間だが、やはりマッサージ機に揉んでもらいながらの読書は至福のとき。
休日には頭も休めたいので、脳に負荷がかからない本をセレクトする。
小田嶋 隆の出たばかりの新刊『テレビ救急箱』をお供にマッサージ。以前に出た『テレビ標本箱』の続刊である。
テレビはほとんど見ないので、扱われている題材(番組)はまったくといっていいほど分からないが、題材を扱う手つきや考え方が何より面白い。
小田嶋先生のテレビ番組に関する考察はたいへん面白いが、だからテレビを観たくなるという類では全然なく、いかにテレビ番組が腐っているのかがよく確認できる(笑)
面白いのは題材ではなく小田嶋先生である。

夜、ガイ・リッチーの新作『リボルバー』を観る。
ガイ・リッチーといえば『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『スナッチ』の監督である。
新作『リボルバー』は、日本では今年の初夏に公開される予定らしく、宣伝用のコメントを依頼された。今 敏なんかのコメントで宣伝の役に立つのだろうか、と思ったのだが、その映画を観たかったこともあり引き受けることにした。
その資料として送られてきたDVDである。

これは面白い。観ながら大笑いしてしまった。
ガイ・リッチーお得意の時制の入れ換えやインサート、切れのいい編集が独特のテンポとリズムを生み出している。
『ロック、ストック〜』と『スナッチ』しか観たことはないが、ガイ・リッチー監督映画は、ストーリーの推進力が面白いというよりは、シーン同士の組み合わせやシーンそのものの演出が何より面白い。シナリオも面白いが演出が勝った映画という印象。
キャスティングの妙も相変わらずで、配役の顔がとにかくいい。味のある顔を随所に配置して効果的。
映像的な思いつきを上手いこと演出に取り入れている点も笑いを誘う。
登場人物が3Dのアニメーションにすり替わる演出は、その意味はともかく効果が笑える。
たいへんアイディアが豊かな監督なのであろう。
『リボルバー』は、見終わってもよく分からない点がいくつか残るが、それらも含めて面白さにつながっているし、何より人と話をしたくなる映画だ。
何をコメントするか、少々困るが、とにかく面白い映画であった。

タイトルの表記を確認しようと思って、ガイ・リッチーについてウェブを検索していたら、ウィキペディアにこんなことが記されていた。
「最新作『リヴォルバー』も酷評された」
エエッ!?何で!?

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

現在コメントは受け付けていません。