2008年5月19日(月曜日)

日曜日らしく



昨日は日曜日らしくぼんやり過ごす。
お昼はお気に入りの「マルタイラーメン」を食す。家で食べるラーメンとしてはかなり上等で、たいへん美味しい。ウェブサイトを見たら、定番以外に他にこんなに種類があるとは知らなかった。
http://www.marutai.co.jp/products/
胃の腑が落ち着いたら、横になって本を読むのが日曜日の快楽。
マッサージ機にグリグリと肩や腰、背中を揉んでもらいながら、揉みによって揺れる視線でフラフラしながらも活字を追う。土曜日に買った『黒澤明の作劇術』(古山敏幸・著)を読み終える。
黒澤映画ファンにとっては面白く読める内容だろうが、しかしタイトルはいかがなものか。「作劇術」というより、「作劇の舞台裏」とでもした方がいいのではないか。
映画制作の舞台裏として面白かったが、「術」の漢字を当てるには脚本や作劇の技術を読み解き、それを伝えるといった具体性に欠けている。というより、そうしたことは目的とされていない。
原作との比較や脚本と完成した映画の比較、共作している脚本家の個性や共作におけるバランスなどの紹介は具体性もあり、黒澤映画に影響を受けた映画なども紹介され、映画鑑賞のサブテキストとしては面白い評論本かもしれない。

夕方、ただぼんやりと過ごすのも勿体ないので、より正しくぼんやりするために『バイオハザード?』を見る。以前、ソニーさんからいただいたDVDである。
期待通りにぼんやりと94分を過ごす。もっともっと杜撰な内容かと思って見ていたので、十分にぼんやりと楽しめた。

入浴しながら読書。
ムサビのゼミ生たちがあまり本を読まないということだったので、読書について書かれた良い本はないかと探していた。先日読んだ『部下の仕事はなぜ遅いのか』(日垣 隆・著)の中で紹介されていた『読書力』(齋藤 孝・著)を夕方の散歩のついでに買ってきたので、お風呂の友にする。読書の重要性について分かりやすく書かれた良い本である。書籍とのつきあい方について改めて考えさせられる。あまり本を読まない、特にお若い方には是非一読をお勧めしたい。

晩御飯を食べたら眠気が来る。眠気が来たら素直に誘われて横になる。
日曜日の正しい作法に従って気持ちよく寝て起きたら、2時間近くも経っていた。ありゃま。
DVDで映画『ロイ・ビーン』を見る。
町山智浩さんのポッドキャスト「アメリカ映画特電」で紹介されていて、たいへん面白そうだったのですぐに買ってきた。¥980で名作が買えるとはいい世の中だ。
これは滅法面白い。ムードはコミカルだが、アメリカ建国の礎となったであろう「銃と正義」による秩序、それがやがてカネと法律に取って代わられる様が寓話的なテイストで語られる。
脚本はジョン・ミリアス。右翼といわれるだけあって、銃と正義の時代が失われていくことへの怒りがよく表れている。
監督は「いい加減」といわれる巨匠ジョン・ヒューストン。大西部という割に画面が狭い印象なのは少々残念だが、演出はコミカルでユーモアに溢れていて楽しい。
音楽がモーリス・ジャールなので楽しみにしていたのだが、『ロレンス』や『ジバゴ』といった代表作ほどは印象に残らない。
役者が多彩で楽しい。冒頭に登場する牧師がアンソニー・パーキンスでいい味を出している。主人公ロイ・ビーンの妻となるヴィクトリア・プリンシパルという女優が美しくも可愛い。
途中、1シーンだけ出てくる不思議な「熊男」は監督ジョン・ヒューストン本人だそうで、奇妙なユーモアを添えている。この熊男が置いて行く熊がまたいい演技をしており、泣かせてくれる。エンドクレジットによると「ブルーノ」という熊らしい。
ロイ・ビーンが憧れ続ける女優役にエヴァ・ガードナー。私の場合、昔テレビで見た『北京の55日』と映画館で見た『大地震』の影響か、エヴァ・ガードナーというと対になってチャールトン・ヘストンが一緒に出てきてしまう。
後に権力者となるのがロディ・マクドウォール。たまたま前日に『ヘルハウス』(パメラ・フランクリンが可愛くもエロくてとってもいい)を見返したばかりだったので、連夜のロディ・マクドウォール登場に、それだけで笑ってしまった。
「あ、昨日の霊媒師がいつの間にか西部で弁護士に! そりゃインチキくさいに決まってる(笑)」
そして何より、主演のポール・ニューマンがいい。単なる独裁的な人間に陥らず、とぼけた味わいがあり、憧れの「リリー嬢」への純情さが暴力を緩和している。もっとも、その「愛すべき人間の暴力性」ってのが却ってたいへん危ない感じがするのだが。
しかし何よりも良かったのはビーンの娘、ローズ役のジャクリーン・ビセット。可愛いったらありゃしない。

よく寝て楽しく本を読んでおバカな映画を見て美味しいものを食べて面白い映画で締めくくる。たいへん良い日曜日であった。

トラックバック・ピンバックはありません

トラックバック / ピンバックは現在受け付けていません。

現在コメントは受け付けていません。