2008年8月4日(月曜日)

課外ゼミ・続きの続き



「暑い」と口にしたところでどうなるわけでもないが、それでも発語せずにはいられない。
「うう……暑い」
昨日の昼はラーメン、夜はうどん。今日の昼はまたうどん。
気温の上昇は麺類率も上昇させる。
今日も暑い。ツルツルした食感が望ましい。

会社を選ぶことについて書いていた。
新人のアニメーターにとって、動画を一通り覚えあと、原画になるのはなるべく早いに越したことはない。
動画が上手くなったからといって、それがそのまま原画の能力としてスライドするわけもないからである。
動画を長く続ければ原画も上手くなる、ということはない。別の仕事なんだから。
動画の専門職は独立した立派なポジションだが、原画マンを希望する人にとっては「修行期間」という色合いが濃く、なるべく早くに原画になり、その仕事を実地で覚えた方が結果的に上達は早いのではないかと思われる。

そして、原画になったら育った会社に限らず、あちこちの仕事をするようになるのが業界の常である。
もし、その制作会社を選択したことが大失敗だったとしても、少し我慢して「原画マン」になれば、よそへの移動だって可能になる。それが「動画経験者」であっても同じことである。
だから、長くアニメーターを続けるつもりの人は、それほど会社の選択に神経質になる必要はないように思える。
どうせたいていの人がフリーになるんだから。
ま、これも業界の住人の考えであって、まだその外にいる人間に分かれというのも無理な相談かもしれない。
少しでも気休めの足しになれば幸いだが。

でも、考えてみてほしい。
自分たちが大学に入る前に夢見たり想像した現実が大学や専門学校のキャンパスにあったろうか?
たとえば「武蔵野美術大学映像学科」を選んで受験し合格したときの君たちが描いた未来と、実際に経験した4年間は全然違ったでしょ?
思ったより、大学ってずっとルーズだったでしょ、きっと。
うちのゼミには映像学科ではない子も常連でいるが、その子は学内で今 敏を見つけてアクセスしてきたからだ。
「聞きに行っていいですか?」
「ああ、いいよ」
その結果、今回のマッドハウスの見学にも混じって来ている。
ごく最近出会った中には、こんな強者だっている。
「ぜひ、今さんのゼミに潜らせていただきたい」
「いいけど、どこの学科?」
「あ、○○大学の学生です」
よその学校かい(笑)
そういう働きかけによって次の展開が生まれるのは学校だって業界だって変わりはない。

なにがしかアクションを起こせばリアクションは得られるものだろう。必ず得られるとは限らないし、いい結果につながるとも限らないが、何が次につながるのかなど当人の都合で決まるわけではない。
アニメ業界だって、業界に入ってからの縁や働きかけ次第で身の置き所なんていくらでも流動的になるのだし、何年もの間固定されることはない。
会社の選択について、少しは気楽にしても全然問題ないと私は思うね。
「会社員」という経験もなければ、自分から働きかけたことなど片手の指の数ほどもない今 敏の言うことに説得力はないかもしれないが。

先に登場した動画の先輩は、じきに原画に移行するそうで、動画職の経験が2年と少し。アニメーションについてはほとんど経験がない状態で動画職について一から勉強したそうだが、それでも2年で原画になるのである。
だいたい、原画になって1〜2年もすれば、よその会社の仕事にも興味も出てくるし、実際「バイト」と称してすぐによその仕事もするようになるんだから。
そのうち、関わった仕事のスタッフに誘われて育った会社を出て行って完全なフリーランスになる、というのがアニメーターのよくある成長パターンだ。
そこまで生き残るのもたいへんかもしれないが、しかしより大きな問題はその先なのである。
「アニメーターになる」という「夢」を実現した後には、「続けて行かねばならない」という巨大な「現実」が山のように聳えている。
ま、それはまた別の話。

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