2008年11月14日(金曜日)

六日目ストックホルム続き



いったんホテルに引き上げて短い休息。
18時に車を回してもらい、夕食へ。途中、デパートに寄ってもらい、北欧のすぐれたデザインを見て回り、眼を楽しませてもらう。食器や調理器具、文房具などいずれも欲しくなるものばかりだ。
が、高い。
めちゃくちゃ高い(笑)
聞くところによると、スウェーデンの付加価値税は25パーセント。
スウェーデンブランドの商品は必ずしも国内で生産されているわけではなく、中国の工場で作られたりするわけで、そうすると、そこから直接日本に輸入されることになり、結果スウェーデンブランド製品は、スウェーデン本国で買うより日本で買った方が安い、というねじれを引き起こす。
大使館の方に聞いたところ、日本に帰ると物価の安さに驚くのだそうだ。
海外旅行の楽しみとして数えられるショッピング。私にはほとんど縁がないが、海外でその地のものを買えば日本で買うより安いという思い込みがあったので、何か釈然としない気がする。
高福祉国家の反面である。

この国では住民税も高いそうで、地方によってわずかに差はあってもほぼ一律に30パーセントが住民税として引かれるらしい。収入が多くなればまた別の税金がかかるそうだが、収入の多寡によって税率が変動するわけではなく、一律3割だそうだ。
月に30万稼いでも、手取りは21万。
教育費は無料、医療も公的な保険でほとんどカバーされ、自己負担は少ないとはいえ、なかなか厳しい税率であろう。
雇用する側も社会保険等の負担が大きいそうで、たとえば一人雇用するに当たって、仮に支払う給料が30万だとすると、保険等を含めると総額は180パーセントで、計54万になる。
うへぇ。
しかも残業の時給は150パーセント、休日出勤は200パーセントになるそうだ。
この国でアニメーションを作るのは無理だ、絶対(笑)

フィンランドで聞いた話と同じく、この国でも福祉が充実している割に医療の実態はお寒いようす。
待ち時間が数時間で済めばものすごくラッキーだそうで、医者に診てもらうまでに、受付までに1時間、看護師による診断までさらに待ち時間があり、看護師の判断によっては医者に診てもらえないケースもあるそうで、さらに医者に診てもらえるとしてもそれまでにさらに数時間待たされるのだとか。
病気よりも疲労で身体の具合が悪くなりそうだ。
骨折程度では命に別条があるわけではないから、すぐに手術もしてもらえないのだとか。
移民や難民には手厚いのに病人には手厳しいというのも解せない。
運よく、医者の手が空けば、手術を受けられるそうだ。まるで飛行機のキャンセル待ち。
なぜそういうことになるかというと、医療に充てられる予算は年間に決まっているので、残業や休日診療をすれば予算オーバーになる。あくまで予算の範囲で可能な診療、ということになるからだろう。
高い税金と、治療する側の事情に重きを置かざるを得ない医療現場などは高福祉国家の反面だ。
……ううん、とつい考え込んでしまう。
この国は半分以上社会主義国家なのであろう。
近頃、日本でも格差社会が問題となっているが、この国の在り方まではいかない方が良いと思える。
何だかんだ言っても、やっぱり日本はかなりいい国である。
というより、単に慣れているというだけなんだろうけど。慣れに勝るものなし。

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