2007年8月3日(金曜日)

低学歴詐称(笑)



学歴詐称というと、自分の受けた学歴以上の経歴を詐称するものだとばかり思っていましたが、逆のケースもあるのですね。
横浜市職員の約700人が大学・短大を卒業しているにもかかわらず「高校卒業」と偽って採用されていたことが発覚した、というニュースを知り、大いに笑ってしまいました。情けない話です、まったく。
私は市職員などの受験資格にそうしたカテゴリーがあることも知らなかったのですが、バスの運転、ゴミ収集、学校給食の調理などに関わる技能職員というのは、高校卒業までを対象としているそうです。
要するに、地元の中卒・高卒者たちの受け皿としてそうした枠が考えられているのでしょう。
悪くない考えだと思います。
しかし、この本来「高学歴を得られなかった人」のための枠を、「高学歴を得られた人」たちが、学歴を詐称してまで奪っているというわけです。
さすがに学歴のある方々は小賢しいことを考えるものです(笑)
小賢しいというのは適切ではありませんね、ズルじゃなくて違法なんですから。

元々は大阪市などで発覚したそうで、同じケースがあるという情報を受けて横浜市が調査した結果、判明したとのこと。
その調査がまた奮っている。
7月中に自己申告すれば「1ヶ月の停職処分」で、8月に入ってから発覚した場合は「懲戒免職」というお触れを出したそうです。
さぞや焦ったことでしょうな、該当職員は。
何せズルまでしてようやく手に入れた安定第一の職場なんでしょうし、そうした姑息なことを考える方々は得てして小心でしょうから、その動揺ぶりは想像に難くないように思える。
きっと、すぐにこう考えたはずです。
「他の人はどうするんだろう!?」
なかなかに正しい「日本の人」と言えるでしょう。
私が小学校の頃、うちの母親は伝聞としてこんなことを言っていました。
「日本人の代表は学校の先生と銀行員だとさ」
事なかれ主義で責任を引き受けない人たちの代表ということのようでした。
後の銀行破綻が続いたときに、母の言葉を思い出してひどく納得した気がしました。
今では何でしょうね。
今時流行りの「格差社会」とやらで自分の周りにささやかな幸福を確保するためには、不幸せの種は他人に押しつければ良いと思っている代表はこうした「木っ端公務員」や「木っ端役人」なんでしょうか。
もちろん、公務員全体を非難しているわけではありません。そういう体質の方々のことを言っているだけです。
アニメ業界にもたくさんいますよ、「木っ端役人」みたいな方々が。

「格差社会」だの「下流」だのと喧しい世の中で、そうしたことの是正に努めるはずの他ならぬ公的機関で、学歴を得なかった人たちに用意されたわずかなパイを、高学歴とされる方々が嘘をついてまで奪い取って職員となっているわけです。
横浜市の市職員は全体で約2万8000人、中学・高校卒業者を対象とした技能職が約8000人だそうです。そのうちの700人(実際には5〜600人になるとの見方のようですが)がズルまでして安定を握りしめて放したくない人たちらしい。
職員全体の0.025%ということになります。
1000人のうち25人。
横浜市に限ったことではないでしょうから、もしかしたら日本全体でそのくらいの割合で(もっといるような気もしますが)ズル人間がいるのかもしれません。
嫌だね、まったく。木っ端連中は。

しかし、学歴詐称をしてまで下位にあるとされるカテゴリーを圧迫するなんて、「弱肉強食」という「弱肉弱食」という感じがしてきます。
(※念のために断っておきますと、私が学歴の高低でその人間を上位か下位であるかを判断しているわけではありませんし、私はそのような判断基準は持ち合わせていません。単に世間的にはそういう判断傾向があるという前提で言葉を運用しております。)
事情は色々あるでしょう。低学歴詐称しなければならないほど、学歴が以前ほど有効ではなくなったのでしょうし、そうせざるを得ないほど世の中が不況だということかもしれません。
詐称した人たちはむしろ自分たちも就職において「低位」であるとか「弱者」であるといった被害者意識を持っていたかもしれません。しかし自分よりもっと「低位」や「弱者」とされるものを圧迫しているという加害者意識は大変希薄に違いありません。
いいですよね、いつだって自分が被害者だと思える脳って。
それほど格差社会が色濃く反映した結果、という見方もあるでしょうが、私には単に「さもしい」としか思えませんし、むしろ結果ではなく原因ではないかと思えます。
さもしさの増大によって格差が幅をきかせた、ということなんでしょうね。

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