2008年3月16日(日曜日)

多忙な道のり



今日はF1の開幕戦。
スポーツにさほど興味はないがF1だけは毎年楽しみにしている。

昨日は税金関係の書類を清書して、あとは月曜日に提出するだけとなった。
一安心。
「十年の土産」の疲れは意外なほど大きいようで、ちょっと作業をするとすぐに疲れてしまい、出るのは溜息ばかりなり。それに、すぐ眠くなる。
作業が一段落したといってはマッサージ機に座ってうとうとし、満腹したといってはすぐに横になる。
会期中の睡眠不足を回収しているかのようだ。身体は正直だ。
そして不思議なのが、やたらと腹が減ることで、御飯を食べて3時間もするとお腹が空いてくる。身体が壊れているわけでもなかろう。これもやはり会期中に放出した体力を回復するプロセスの一つに違いない。
もしくはこう呼ぶ。
「リバウンド」

展覧会が終わったとはいえ、残されている仕事はまだまだたくさんある。
絵をお買い上げいただいたお客様への発送が何より大事だが、展覧会に没頭していて放っておいた部屋と仕事場の掃除やら何やら後始末が残っている。
疲れてばかりもいられない。

考えてみれば私が忙しかったのは会期中ばかりではなかった。
準備期間も合わせると、約一ヶ月半に渡って怒濤の多忙を経験したのであった。
だいたい私は準備というものが苦手だ。
「準備に余念がない」どころか、余念ばかりだったのである。
まず、本格的に展覧会の準備に入ったのが、なんと1月の末日。
開催まで一月しかない。うわぁ(笑)
画廊のブッキング以外、この時点ではほとんど何もしていない。ひええ(笑)
額も購入していなければ、大判のプリントどころか一枚の出力だってしていないし、案内状の作成にもかかっていない。どしぇぇッ(笑)
いま思うと我ながら無謀に思う。ホントに。よく開催に間に合ったものだ。
あ。この感想ってまるでアニメーション制作みたいだ。
結局私は何をやっても同じことになるらしい。

家内の友達で、展覧会のベテランであるイラストレーターのSさんに打ち合わせに参加してもらい、具体的なご指導をいただいたのが1月29日。
私の準備の無さに呆れられてしまった。
「3月頭から個展とはまた急な……」
いや、開催することは随分前から決まっていて、急な事態にしてしまったのは私の認識の甘さによるものだったのです。すいません。
Sさんはこの打ち合わせに来る途中に、「世界堂」や出力屋さん、そして画廊を実際に見てきてくださり、額装にかかる時間や展示の方法まで確認してきてくれたのである。
何ていい人なんでしょう。
うう、ありがとうございます。
ここで事態の急を思いっきり認識し、さあ展覧会の準備に没頭!……となれば私も少しは安心できたのだが、2月はスケジュールが混雑しており、その合間を縫っての準備となってしまった。

まず告知用の案内状作成。急務である。どれもこれも急務だったのだが。
先の打ち合わせで案内状は家内に担当してもらうことになり、これだけはすでに私が用意しておいた、「十年の土産」メインビジュアル(イラストの曼荼羅みたいなコラージュ)の画像、そして「口上」と「サイン」をあしらって案内状の裏表をデザインしてもらう。
案内状の印刷は、マッドハウス経由で『パーフェクトブルー』リニューアル版DVDのジャケットでお世話になった印刷会社に格安で頼むことになる。驚くほど安価なうえに、当初1000枚の注文だったところを、サービスで500枚上乗せしてくれたのである。
ありがとうございます。
結果、印刷枚数は1500枚。
しかし、「十年の土産」開催初日ですでに残りわずかになってしまい、急遽1000枚を追加することになった。
案内状が山のように残ったりするかも……という心配もあったのだが、杞憂に終わってホッとした。

翌日、Sさんのご指導に従い、まずは「世界堂」に行って必要な数の額とマットを注文する。
気に入った額がすぐに決まってホッとする。
選択基準はごく簡単。
「私のうちで飾りたいようなもの」
自宅に少しくらい自分の絵を飾っても悪くないと思っていた。どうせ展覧会後の使い道はないのだから、自分の家で少しは使おうという算段である。
それに、「今 敏監督展覧会」という名の通り、これは「今 敏監督」が作成した画像の「展覧会」であると同時に、「今 敏」が「監督」する「展覧会」でもある。
額も演出の一つであり、私の趣味がよく反映した選択だったと思う。
この時点では展示する絵の数が確定していないので、額はやや多めに注文する。絵は額に合わせて考えればよろしい。
問屋に問い合わせてもらったところ、一週間もあれば額はすべて揃うとのことで一安心。

「世界堂」を出たその足で、ごく近所にある出力屋さん「東京リスマチック」を訪ね、B1、B2など大判出力の料金や必要な日数を確認し、使用する紙と印刷の方法、タックボードへの貼り付けなど出力に必要なことを決める。
枚数にもよるが出力にはそれほど時間がかからず、予定している7〜8枚でも中三日あれば出力が可能と聞いて一安心。あとはデータさえ持ち込めばよい。
よしよし、どんどん進めるぞ。

さらにその足で、舞台となる新宿眼科画廊を訪ね、前金を支払い、展示スペースを再確認する。
いまとなってはすっかり仲良くなってしまった画廊のCちゃんも、この時はまだ「画廊の人」であった。会期12日での関係の変化に改めて深い感慨を覚えてしまう。
ちなみに今後、展覧会などを開きたいと思われる方のため、参考までにご紹介しておくと、今回の画廊のレンタル料金は全部合わせて45万円ほど。
画廊にいらした方はお分かりになると思うが、絵を展示していた3つのスペース12日間、それとトークイベントに使用した奥の部屋が5日間。
これらすべてで先の金額だから、かなりリーズナブルではないかと思われる。
何しろ今回が初めての展覧会なので、他との比較はよく分からない。
しかし料金や場所、展示のための自由度、スペースのイメージ、画廊スタッフの人柄などすべて含めて心の底から「新宿眼科画廊」を選んで良かったと思う。
ついでにその他主だった経費を紹介しておくと、額装費が全63点で50数万、大判出力が20数万というところだろうか。その他、プリント用紙やインク、備品等、私が把握しているだけで多分、合計で120〜30万くらいだろうか(案内状の印刷代等は含まれない)。
これらがとりあえず私がこれまでに支払った代価である。
かなり「いい道楽」ではないか。
精算がすべて済んだら、また紹介できればと思う。
アニメーション業界の中には、こうした展覧会を開きたい人もおられるだろうし、参考になれば幸いである。

画廊を訪ねたあと、会社に戻って、展示するための「現物」(オリジナルの線画やペン画)を「サルベージ」する。私の仕事場はものに溢れており、さらに単なるイラストの素材であるオリジナルの原画はぞんざいに保存されているので、「サルベージ」の言葉が相応しい。
自宅にも保存してあった現物と合わせ、翌日これらの額装の準備をする。
新宿「世界堂」は種類も豊富で数も揃えやすいが、自宅からは少々遠いので、現物は近場の吉祥寺「ユザワヤ」で額装することにした。
展示する数も多くないし、出力イラストと展示上若干の「差」もつけたかったので、近いイメージだが少し違うタイプの額とマットを注文する。

さてここから私の「泥縄」がさらに本領発揮となる。
吉祥寺「ユザワヤ」を出たその足で「ヨドバシカメラ」へ。
購入したのは展示関連のデータをすべて収めるためのハードディスク、そしてなんとペンタブレット。
ええ!? それはつまり、これから絵を直そうってつもりなのか(笑)

以後、つづく。

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