今さんの筆記用具についてなんですけど……
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今さんの筆記用具についてなんですけど……
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投稿日時 2009/6/10 19:06 | 最終変更
麻衣子
今さんはじめまして
ファンなのでマニアックな質問になってしまいますが許して下さい
手元にある4冊の絵コンテ集を見比べていて思ったんですけど
絵コンテの絵は作品によって筆記用具を変えて描かれているんでしょうか?
分かっているのは千年女優の絵コンテはUNIのHの鉛筆で描かれているということだけで
その他の作品の絵コンテの筆記用具については情報がないので分かりません
パプリカの特典映像ではシャーペンで絵コンテを描かれているようなので
もしかしたら作品によって筆記用具を変えているのか
それともある時期から鉛筆からシャーペンへと変えたのかと疑問に思いました
4冊の絵コンテ集はそれぞれ印刷の具合が違うので
素人目には筆記用具の区別まではつきません
今さんは絵コンテの他にもレイアウトや原画も描かれる場合があるので
それぞれの場合で筆記用具を変えているのかもお聞きしたいです
私にとっては絵コンテ集もいつもながめていて楽しい作品なので
それがどういう理由でどういう筆記用具を選んで今さんが描かれているのかも知りたくなってしまいました
ファンなのでマニアックな質問になってしまいますが許して下さい
手元にある4冊の絵コンテ集を見比べていて思ったんですけど
絵コンテの絵は作品によって筆記用具を変えて描かれているんでしょうか?
分かっているのは千年女優の絵コンテはUNIのHの鉛筆で描かれているということだけで
その他の作品の絵コンテの筆記用具については情報がないので分かりません
パプリカの特典映像ではシャーペンで絵コンテを描かれているようなので
もしかしたら作品によって筆記用具を変えているのか
それともある時期から鉛筆からシャーペンへと変えたのかと疑問に思いました
4冊の絵コンテ集はそれぞれ印刷の具合が違うので
素人目には筆記用具の区別まではつきません
今さんは絵コンテの他にもレイアウトや原画も描かれる場合があるので
それぞれの場合で筆記用具を変えているのかもお聞きしたいです
私にとっては絵コンテ集もいつもながめていて楽しい作品なので
それがどういう理由でどういう筆記用具を選んで今さんが描かれているのかも知りたくなってしまいました
投票数:3
平均点:3.33
s-kon
居住地: 東京
投稿数: 100
こんにちは、麻衣子さん。
マニアックな質問、全然問題ありません。
仕事の話をするのは嫌いじゃないですから。
コンテ執筆の筆記用具ですか。
特にこだわっているわけでもないのですが、縦横「60ミリ:11ミリ(1:1.85ビスタサイズ)」のコンテ用紙の1マスは決して大きくないので、そのサイズにどこまで絵を描くのかという前提次第で筆記具は選んでいます(『パーフェクトブルー』のコンテはもっと1マスが小さかったですが)。
まぁ、ほとんど気分次第みたいなものですが、さすがに2Bとか3Bの鉛筆では描けませんね。
『千年女優』の時はユニのHでしたか。覚えていませんでした。
ということは『パーフェクトブルー』も鉛筆ですね。いま見ると荒っぽいコンテです。絵もカットの割り方も。
多分、『東京ゴッドファーザーズ』の時からシャープペンシルがメインになったんじゃないかと思われます。
絵コンテ時に美術設定や背景原図まで引き受ける覚悟をしてから(というか引き受けざるを得なくなったから)、勢い密度を高くする必要があったのでしょう。
以後は、コンテの絵を拡大して原図に使う、という前提で描いています。
かなり無理があるんですけど。負けそう。
『パプリカ』は完全にシャーペンオンリーですね。
芯は0.5ミリのHBです。
ただ、メーカーがどこのだったのかは定かではありません。
一時期、絵が細かくなりすぎるのを避けるため、Bの芯も試してみましたがダメでしたね。
線が滑りすぎて、どうしても絵が大味な傾向になってしまう。
私は抑制の利いた線が好きです。
現在描いているコンテも同様に0.5ミリのシャーペンで、HB。
メーカーは現在も固定していませんね。
ついこの間、芯が切れたので数種類の「0.5ミリHB」を買いそろえて使い比べています。
メーカーによって同じHBでも硬軟の幅がありますね。
キャラを描くなら柔らかめの方が線を走らせやすく、強弱もつく、手も疲れにくいので描いていて楽なのですが、背景となるとそうも行きません。
背景に限らず、細かいものを描くにはやっぱり硬めの芯がいいですね。手が疲れますけど。
大雑把ですが、以上のような使い分けが必要なのでシャーペンは異なる芯を入れた2種類を使用しています。
私にとっては、芯の硬軟よりはむしろ筆記具の太さが重要です。それは漫画家を描いていた頃のペンでも同じことが言えました。
握りが太めでないとどうもうまくない。
裸の鉛筆だと細すぎて私はダメですね。握りが細いと何より手が疲れる。
どうも握りが細いと筆記具の「お尻」が上がりにくいせいもあるみたいです。
お尻を上げる、というのは要するに筆記具を立てて使うということです。
寝せれば太い線が描けるし、立てれば細く使える。
そのため握りの太さも重要ですが、筆記具の長さも問題になってくるんです。
長いのはダメですね。おろしたての鉛筆は私には長すぎて使いにくい。
鉛筆なら13〜14センチくらいがもっとも「フットワーク」がいいのですが、何しろ鉛筆は時々削らないとならないですから、いい時期が長く続かないんですよね。まるで人間や人間関係みたいで。
そんな理由もあってコンテの時はグリップの長さが変わらない、太めのシャーペンを使っています。
筆記具は太く短く、人生は細く長くがモットーです。
レイアウトや原画は全部鉛筆ですね。
これもHBがほとんど。気分と相手次第でたまにBを使うこともあります。
『妄想代理人』の頃から、レイアウトにしろ原画の直しにしろ、ほとんどラフを描くだけになってしまったので、コンテの時ほどは筆記具にこだわっていませんが。
本番素材のうちで、自分でも時々清書するものとしては「ハーモニー動画」がありますが、これは……確か、ほとんどは原画用紙にHBかHの鉛筆だったかな。
筆記具の選択は、紙との相性の方が問題かもしれません。
コンテ用紙、修正用紙、レイアウト用紙、原画用紙、動画用紙とそれぞれ紙の質が違います。
表面のざらつき具合が違うので、同じHBでもコンテ用紙なんかはかなり濃く太めに反映しますし、動画用紙はその逆。
現在のコンテ作業では、私の場合、上の動画用紙以外の紙すべてを使うという、かなり奇妙な作業になっています。ほとんど「ミニレイアウト」を描いているに等しい作業です。
下描きに使っているのは修正用紙で、これが一番描きやすいかな。薄くて適度な抵抗もあるので。
レイアウトや原画のラフなんかは、修正用紙ばかりです。
ただ、修正用紙は色つきの紙(淡い黄、ピンク、青)なので、スキャンには不向きです。
最近は動画用紙より薄くて、適度にざらつきのある原画用紙が使いやすい。
冒頭、「特にこだわっているわけでもない」と書いたものの、書き始めたらけっこうこだわっていることが分かりました(笑)
弘法じゃないので筆は選びます。
マニアックな質問、全然問題ありません。
仕事の話をするのは嫌いじゃないですから。
コンテ執筆の筆記用具ですか。
特にこだわっているわけでもないのですが、縦横「60ミリ:11ミリ(1:1.85ビスタサイズ)」のコンテ用紙の1マスは決して大きくないので、そのサイズにどこまで絵を描くのかという前提次第で筆記具は選んでいます(『パーフェクトブルー』のコンテはもっと1マスが小さかったですが)。
まぁ、ほとんど気分次第みたいなものですが、さすがに2Bとか3Bの鉛筆では描けませんね。
『千年女優』の時はユニのHでしたか。覚えていませんでした。
ということは『パーフェクトブルー』も鉛筆ですね。いま見ると荒っぽいコンテです。絵もカットの割り方も。
多分、『東京ゴッドファーザーズ』の時からシャープペンシルがメインになったんじゃないかと思われます。
絵コンテ時に美術設定や背景原図まで引き受ける覚悟をしてから(というか引き受けざるを得なくなったから)、勢い密度を高くする必要があったのでしょう。
以後は、コンテの絵を拡大して原図に使う、という前提で描いています。
かなり無理があるんですけど。負けそう。
『パプリカ』は完全にシャーペンオンリーですね。
芯は0.5ミリのHBです。
ただ、メーカーがどこのだったのかは定かではありません。
一時期、絵が細かくなりすぎるのを避けるため、Bの芯も試してみましたがダメでしたね。
線が滑りすぎて、どうしても絵が大味な傾向になってしまう。
私は抑制の利いた線が好きです。
現在描いているコンテも同様に0.5ミリのシャーペンで、HB。
メーカーは現在も固定していませんね。
ついこの間、芯が切れたので数種類の「0.5ミリHB」を買いそろえて使い比べています。
メーカーによって同じHBでも硬軟の幅がありますね。
キャラを描くなら柔らかめの方が線を走らせやすく、強弱もつく、手も疲れにくいので描いていて楽なのですが、背景となるとそうも行きません。
背景に限らず、細かいものを描くにはやっぱり硬めの芯がいいですね。手が疲れますけど。
大雑把ですが、以上のような使い分けが必要なのでシャーペンは異なる芯を入れた2種類を使用しています。
私にとっては、芯の硬軟よりはむしろ筆記具の太さが重要です。それは漫画家を描いていた頃のペンでも同じことが言えました。
握りが太めでないとどうもうまくない。
裸の鉛筆だと細すぎて私はダメですね。握りが細いと何より手が疲れる。
どうも握りが細いと筆記具の「お尻」が上がりにくいせいもあるみたいです。
お尻を上げる、というのは要するに筆記具を立てて使うということです。
寝せれば太い線が描けるし、立てれば細く使える。
そのため握りの太さも重要ですが、筆記具の長さも問題になってくるんです。
長いのはダメですね。おろしたての鉛筆は私には長すぎて使いにくい。
鉛筆なら13〜14センチくらいがもっとも「フットワーク」がいいのですが、何しろ鉛筆は時々削らないとならないですから、いい時期が長く続かないんですよね。まるで人間や人間関係みたいで。
そんな理由もあってコンテの時はグリップの長さが変わらない、太めのシャーペンを使っています。
筆記具は太く短く、人生は細く長くがモットーです。
レイアウトや原画は全部鉛筆ですね。
これもHBがほとんど。気分と相手次第でたまにBを使うこともあります。
『妄想代理人』の頃から、レイアウトにしろ原画の直しにしろ、ほとんどラフを描くだけになってしまったので、コンテの時ほどは筆記具にこだわっていませんが。
本番素材のうちで、自分でも時々清書するものとしては「ハーモニー動画」がありますが、これは……確か、ほとんどは原画用紙にHBかHの鉛筆だったかな。
筆記具の選択は、紙との相性の方が問題かもしれません。
コンテ用紙、修正用紙、レイアウト用紙、原画用紙、動画用紙とそれぞれ紙の質が違います。
表面のざらつき具合が違うので、同じHBでもコンテ用紙なんかはかなり濃く太めに反映しますし、動画用紙はその逆。
現在のコンテ作業では、私の場合、上の動画用紙以外の紙すべてを使うという、かなり奇妙な作業になっています。ほとんど「ミニレイアウト」を描いているに等しい作業です。
下描きに使っているのは修正用紙で、これが一番描きやすいかな。薄くて適度な抵抗もあるので。
レイアウトや原画のラフなんかは、修正用紙ばかりです。
ただ、修正用紙は色つきの紙(淡い黄、ピンク、青)なので、スキャンには不向きです。
最近は動画用紙より薄くて、適度にざらつきのある原画用紙が使いやすい。
冒頭、「特にこだわっているわけでもない」と書いたものの、書き始めたらけっこうこだわっていることが分かりました(笑)
弘法じゃないので筆は選びます。
投票数:4
平均点:7.50
お返事ありがとうございます
msg#
麻衣子
丁寧なお返事が頂けてとても嬉しいです
制作上の理由で鉛筆からシャーペンに変えられたんですね
絵コンテの1マスが縦横6センチと11センチというとかなり小さいと思うんですけど
縮小コピーも使わずに拡大コピーに耐えるだけの精度を持った小さな絵を描かれる上手さに驚いてしまいます
絵コンテ集での安藤雅司さんの「絵コンテの絵がレイアウトとして本当に使えますから。
絵コンテを拡大してレイアウトとして使ってもズレがないんです。
普通はどんなに精巧に描かれているように見えても、そのまま使うのは難しいんです」というお話を目にしただけでも
今さんがプロの中でも絵描きとしてどれだけ高い技術をお持ちなのかが伝わってきます
『パーフェクトブルー』は1ページあたり6マス分あるので更に絵が小さくなるにも関わらず
あれだけ細かく描かれているのは凄いと思いましたし
今さんが言われるような絵の荒さは感じませんでした
『パーフェクトブルー』の絵コンテの絵はその後の絵コンテと比べるとディテールの度合いが違うので
今さんの絵の根っこの部分が分かるような気がして見ていて別の楽しさもあります
シャーペンですが芯が0.5ミリのHBというと私がコンビニで買って使っている物と同じなので試しにカリカリと紙に落描きしてみましたが
得体の知れない動物っぽいものが描き上がっただけで
今さんがこれであの絵を描かれてしまうなんてどんな魔法なんだろうと素直に感心してしまいました
HBというとそれなりに筆圧も高めに描かれていると思うんですけど
時々は手首をくねくねさせたりなんかして大事にしてください
(言われなくても気をつけていらっしゃると思うんですけど
今さんの書かれた濱洲英喜さんのお話を読んだりするととても心配になってしまいます)
私は手がとても小さいので筆記具の太さを気にしたことがありませんでしたが
今さんは握りが太くないとダメなんですね
『海帰線』でテープや糸をぐるぐる巻きにしたペンの写真も見ました
鉛筆は日常生活からすっかり姿を消してしまっているので気付きませんでしたが使っているうちに短くなってしまうんですよね(当たり前だ)
「フットワーク」(手なのに?)がいい長さという発想もありませんでしたし
求める線の質によって鉛筆を立てたり寝かせたりしているというのも初めて知りました
時期的には『THE MEMORY OF MEMORIES』に載っている
今さんの非常識な程の細密な絵や
『METHODS』で見ることができる沖浦啓之さんが言うところの
「これは本当に人が手で描いたのか?
何がどういうテクニックなのか、分からんぐらいに巧い。何が起きたのか分からんぐらい(笑)。
見た事がないぐらいの完璧さでしたよ。なんなんでしょうかね、まとまり具合の凄さというか。圧倒的でしたね。
しかも、描き方も巧いから、鉛筆使いで空気感を表してるんですよ。
線で描いたものなのに、写真のように見えるリアリズムというか、説得力があるんです。
建物なんかに興味があって、そういうのをサボらずに描いてきた蓄積が、あの時点で、かなりあったんでしょうね」という凄いレイアウトも鉛筆で描かれているんですね
今さんの絵はお名前が明記されていなくても綺麗な線とバランスの良さで
ひと目で判別できます
私は今さんのよく言われる“抑制の利いた”“温度の低い”線が大好きです
(NHKの『トップランナー』でも言われてましたよね)
やっぱり線は綺麗な方が絶対に華があると思います
今さんの清書される独特なタッチの入った「ハーモニー動画」も好きです
「弘法じゃないので筆は選びます」というのは謙遜されているのかもしれませんが
私のような素人から見るとどんな分野の人でも一流の人程道具にこだわりを持っているように思えます
「切れれば何でもいいや」というような調理用具に無頓着なシェフのいるレストランには食べに行く気は起こらないし
「音が鳴れば何でもいい」というレベルで楽器を扱っているミュージシャンの演奏は聴く気が起こりません
だから同じ硬度の芯でも用途別に使い分けたり紙との相性を考えて描かれたり
数種類の「0.5ミリHB」を買いそろえて使い比べていたりといった
今さんの道具に対するこだわりを伺えたのはとても嬉しいことでした
さすが一流の人は違うなと納得もできました
「弘法筆を選ばず」はWikipediaによると
「よい筆を使うことができなかったので、うまく書けなかった」という真逆の意味もあるそうです
実社会では「弘法筆を選ぶ」が本当だと思います
「筆記具は太く短く、人生は細く長くがモットー」
私にとっては今さんの映画は太いです
太いどころか「ごんぶと」です
これからもごんぶとな映画を永く創っていって下さい
制作上の理由で鉛筆からシャーペンに変えられたんですね
絵コンテの1マスが縦横6センチと11センチというとかなり小さいと思うんですけど
縮小コピーも使わずに拡大コピーに耐えるだけの精度を持った小さな絵を描かれる上手さに驚いてしまいます
絵コンテ集での安藤雅司さんの「絵コンテの絵がレイアウトとして本当に使えますから。
絵コンテを拡大してレイアウトとして使ってもズレがないんです。
普通はどんなに精巧に描かれているように見えても、そのまま使うのは難しいんです」というお話を目にしただけでも
今さんがプロの中でも絵描きとしてどれだけ高い技術をお持ちなのかが伝わってきます
『パーフェクトブルー』は1ページあたり6マス分あるので更に絵が小さくなるにも関わらず
あれだけ細かく描かれているのは凄いと思いましたし
今さんが言われるような絵の荒さは感じませんでした
『パーフェクトブルー』の絵コンテの絵はその後の絵コンテと比べるとディテールの度合いが違うので
今さんの絵の根っこの部分が分かるような気がして見ていて別の楽しさもあります
シャーペンですが芯が0.5ミリのHBというと私がコンビニで買って使っている物と同じなので試しにカリカリと紙に落描きしてみましたが
得体の知れない動物っぽいものが描き上がっただけで
今さんがこれであの絵を描かれてしまうなんてどんな魔法なんだろうと素直に感心してしまいました
HBというとそれなりに筆圧も高めに描かれていると思うんですけど
時々は手首をくねくねさせたりなんかして大事にしてください
(言われなくても気をつけていらっしゃると思うんですけど
今さんの書かれた濱洲英喜さんのお話を読んだりするととても心配になってしまいます)
私は手がとても小さいので筆記具の太さを気にしたことがありませんでしたが
今さんは握りが太くないとダメなんですね
『海帰線』でテープや糸をぐるぐる巻きにしたペンの写真も見ました
鉛筆は日常生活からすっかり姿を消してしまっているので気付きませんでしたが使っているうちに短くなってしまうんですよね(当たり前だ)
「フットワーク」(手なのに?)がいい長さという発想もありませんでしたし
求める線の質によって鉛筆を立てたり寝かせたりしているというのも初めて知りました
時期的には『THE MEMORY OF MEMORIES』に載っている
今さんの非常識な程の細密な絵や
『METHODS』で見ることができる沖浦啓之さんが言うところの
「これは本当に人が手で描いたのか?
何がどういうテクニックなのか、分からんぐらいに巧い。何が起きたのか分からんぐらい(笑)。
見た事がないぐらいの完璧さでしたよ。なんなんでしょうかね、まとまり具合の凄さというか。圧倒的でしたね。
しかも、描き方も巧いから、鉛筆使いで空気感を表してるんですよ。
線で描いたものなのに、写真のように見えるリアリズムというか、説得力があるんです。
建物なんかに興味があって、そういうのをサボらずに描いてきた蓄積が、あの時点で、かなりあったんでしょうね」という凄いレイアウトも鉛筆で描かれているんですね
今さんの絵はお名前が明記されていなくても綺麗な線とバランスの良さで
ひと目で判別できます
私は今さんのよく言われる“抑制の利いた”“温度の低い”線が大好きです
(NHKの『トップランナー』でも言われてましたよね)
やっぱり線は綺麗な方が絶対に華があると思います
今さんの清書される独特なタッチの入った「ハーモニー動画」も好きです
「弘法じゃないので筆は選びます」というのは謙遜されているのかもしれませんが
私のような素人から見るとどんな分野の人でも一流の人程道具にこだわりを持っているように思えます
「切れれば何でもいいや」というような調理用具に無頓着なシェフのいるレストランには食べに行く気は起こらないし
「音が鳴れば何でもいい」というレベルで楽器を扱っているミュージシャンの演奏は聴く気が起こりません
だから同じ硬度の芯でも用途別に使い分けたり紙との相性を考えて描かれたり
数種類の「0.5ミリHB」を買いそろえて使い比べていたりといった
今さんの道具に対するこだわりを伺えたのはとても嬉しいことでした
さすが一流の人は違うなと納得もできました
「弘法筆を選ばず」はWikipediaによると
「よい筆を使うことができなかったので、うまく書けなかった」という真逆の意味もあるそうです
実社会では「弘法筆を選ぶ」が本当だと思います
「筆記具は太く短く、人生は細く長くがモットー」
私にとっては今さんの映画は太いです
太いどころか「ごんぶと」です
これからもごんぶとな映画を永く創っていって下さい
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絵の話
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s-kon
居住地: 東京
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丁寧なご感想、ありがとうございます。
絵を描くことについて文章を書くのはなかなか面白いのでまた書いてみます。
>縮小コピーも使わずに拡大コピーに耐えるだけの
>精度を持った小さな絵を描かれる上手さに驚いてしまいます
ありがとうございます。
でも、出来上がったものは多少驚かれるような代物でも、一つ一つの作業は至ってシンプルなものです。
画面の大小にかかわらず、絵を描くには手順があります。
手順といっても誰にでも共通するわけではなく、描き手それぞれの手順であり、私の手順は私の経験から培われたものです。
レイアウト用紙でもコンテ用紙でも、枠線があれば手順に従ってそこに秩序を構築するわけです。
もちろん枠の大小によって精度は変わってきますが、手順に従って描いて行けばそれほど大きな誤差は生まれません。
問題は集中力がどれだけ持続するか、また肉体的な訓練度などでしょう。
集中力の問題は手順と大きく関係していて、手順上の各ステップをクリアすることを目先の問題にして作業するので、比較的集中力は持続させやすい。
いっぺんに「ゴール」を思い浮かべるとそこまでの距離に意欲や集中力も萎えることもありましょうが、小さな目標に対してならば比較的容易に集中力を高められます。
ゲームのステージをクリアするのと同じようなものです。
「ラフな絵で大まかな構成を決める→消失点を決めてパースをはめる→基準となる人物の大きさを設定する→対比に従って対象を配置(下描き終わり)→下描きで設定した指示に従って、下描きをさらに補いながら主な線を入れる→さらに描写を補ってバランスを取る→仕上げに「汚し」「タッチ」を入れる」
これらの手順が行ったり戻ったりするととっても疲れます。
疲れるのは嫌です。
手順そのものが設計図としても機能してくれるので、手順を踏むのが一番楽で疲れません。
肉体的な訓練度については、もちろん筆記具を思うようにコントロールするというもっとも根本的な訓練度が重要ですが、しかしこれも一々勘に頼るだけでは神経が持たなくなってくるので、なるべく簡単な「プログラム」に分解する。
たとえば上下方向にもパースのついたビルを描く場合、一階分ずつパースに従って送りながら描いていくと誤差が大きくなるので、2階分ずつ送ってこれを下描きとして、清書時にその半分を目安に1階を割り出し、さらにその半分を窓と想定する……といったような。遠景のビルでも精度が必要なら4階分ずつにするとか。
そうした簡単な作業の繰り返しなんです。
文章で説明するのは難しいですが、要するになるべく頭を使わなくて済むようにオートマチックな作業に落とし込む。
とはいえ、その「簡単にする」ことがもっとも頭を使う難しいところなんですが。
大きな問題(完成)をいかに小さな問題(作業)に分解できるかが問われます。
>『パーフェクトブルー』の絵コンテの絵は
>その後の絵コンテと比べるとディテールの度合いが
>違うので今さんの絵の根っこの部分が分かるような
>気がして見ていて別の楽しさもあります
「根っこ」とは「構成」のことなり。
構成がダメならどんなに描き込んでもダメなものにしかなりません。
私はそう考える方です。
そう考えない人たちも多いようです。
だからでしょうか。とても気の毒な画面をよく見かけます。
そういう絵を見るとこう思います。
「描く前に考えればいいのに」
あるいはこんな。
「パッションや力み
なんかでは
補えないことも
あるんだなあ みつを」
構成の弱い画面は、その後の手数をかければかけるほど、加工を施せば施すほど、根っこである構成の脆弱さが露わになって歪な絵になってきます。これは話作りも一緒です。
一所懸命であるがゆえに見づらいものになる。
人生悲喜こもごも。
何だそりゃ。
絵を描くことについて文章を書くのはなかなか面白いのでまた書いてみます。
>縮小コピーも使わずに拡大コピーに耐えるだけの
>精度を持った小さな絵を描かれる上手さに驚いてしまいます
ありがとうございます。
でも、出来上がったものは多少驚かれるような代物でも、一つ一つの作業は至ってシンプルなものです。
画面の大小にかかわらず、絵を描くには手順があります。
手順といっても誰にでも共通するわけではなく、描き手それぞれの手順であり、私の手順は私の経験から培われたものです。
レイアウト用紙でもコンテ用紙でも、枠線があれば手順に従ってそこに秩序を構築するわけです。
もちろん枠の大小によって精度は変わってきますが、手順に従って描いて行けばそれほど大きな誤差は生まれません。
問題は集中力がどれだけ持続するか、また肉体的な訓練度などでしょう。
集中力の問題は手順と大きく関係していて、手順上の各ステップをクリアすることを目先の問題にして作業するので、比較的集中力は持続させやすい。
いっぺんに「ゴール」を思い浮かべるとそこまでの距離に意欲や集中力も萎えることもありましょうが、小さな目標に対してならば比較的容易に集中力を高められます。
ゲームのステージをクリアするのと同じようなものです。
「ラフな絵で大まかな構成を決める→消失点を決めてパースをはめる→基準となる人物の大きさを設定する→対比に従って対象を配置(下描き終わり)→下描きで設定した指示に従って、下描きをさらに補いながら主な線を入れる→さらに描写を補ってバランスを取る→仕上げに「汚し」「タッチ」を入れる」
これらの手順が行ったり戻ったりするととっても疲れます。
疲れるのは嫌です。
手順そのものが設計図としても機能してくれるので、手順を踏むのが一番楽で疲れません。
肉体的な訓練度については、もちろん筆記具を思うようにコントロールするというもっとも根本的な訓練度が重要ですが、しかしこれも一々勘に頼るだけでは神経が持たなくなってくるので、なるべく簡単な「プログラム」に分解する。
たとえば上下方向にもパースのついたビルを描く場合、一階分ずつパースに従って送りながら描いていくと誤差が大きくなるので、2階分ずつ送ってこれを下描きとして、清書時にその半分を目安に1階を割り出し、さらにその半分を窓と想定する……といったような。遠景のビルでも精度が必要なら4階分ずつにするとか。
そうした簡単な作業の繰り返しなんです。
文章で説明するのは難しいですが、要するになるべく頭を使わなくて済むようにオートマチックな作業に落とし込む。
とはいえ、その「簡単にする」ことがもっとも頭を使う難しいところなんですが。
大きな問題(完成)をいかに小さな問題(作業)に分解できるかが問われます。
>『パーフェクトブルー』の絵コンテの絵は
>その後の絵コンテと比べるとディテールの度合いが
>違うので今さんの絵の根っこの部分が分かるような
>気がして見ていて別の楽しさもあります
「根っこ」とは「構成」のことなり。
構成がダメならどんなに描き込んでもダメなものにしかなりません。
私はそう考える方です。
そう考えない人たちも多いようです。
だからでしょうか。とても気の毒な画面をよく見かけます。
そういう絵を見るとこう思います。
「描く前に考えればいいのに」
あるいはこんな。
「パッションや力み
なんかでは
補えないことも
あるんだなあ みつを」
構成の弱い画面は、その後の手数をかければかけるほど、加工を施せば施すほど、根っこである構成の脆弱さが露わになって歪な絵になってきます。これは話作りも一緒です。
一所懸命であるがゆえに見づらいものになる。
人生悲喜こもごも。
何だそりゃ。
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Re: 絵の話
msg#
麻衣子
またまたお返事いただけてとっても嬉しいです
作画手順のお話興味深く読ませていただきました
私は今さんの絵を見るのは大好きですが自分では全く描かないので
絵の“基本”と呼べる考え方に触れることができて目から鱗がぽろぽろと落ちるような思いでいます
描き手によって作画の際に踏む手順はそれぞれ異なるとのことですが
今さんの経験則によって培われた手順はシンプルで理解しやすく普遍的なものに感じました
私は今さんの作品をできるだけ楽しむため作品のエンドテロップや
今さんの書かれた文章やインタビューの中に出てくるアニメーターの方々のお名前を頼りに
その方々を調べているうちに絵を見る楽しさにどんどんハマリ込んでいきました
見る専門の私にとっては絵描きの人達の技術はどこまでいっても魔法のようなもので
今回大魔法使いの今さんの解説によって魔法の秘密が少し分かったようでドキドキしました
集中力のお話にある「ゲームのステージをクリアするのと同じようなもの」という喩えは凄く腑に落ちました
私の実感からしても大きな目標に対しては即座に「ムリ」と思ってしまうのでその日ごとの目標に置き換えたり
それでもしんどい時には1時間ごとに「あと1時間頑張る」という謎な目標を立てたりしてその達成感の数珠繋ぎで1日をしのいでいたりします
レベルは違っても今さんがご自身の集中力に対して
絵の作業手順ごとにそういった配慮をされているというお話は参考になりました
(それでも今さんが鋼の集中力と鉄の意志をお持ちでいらっしゃることは絵コンテ集と映画を拝見すれば一目瞭然ですが)
私は最初パースという概念を知らなかったのですが
今さんの「記号の町」作成時のお話を理解するために自分なりに苦労して調べたりもしました
今だにその理解度は怪しいですが上下方向にもパースの付いたビルがどうやって描かれているかが分かってスッキリしました
左右方向のパースだけのビルの場合と違って均等に分割できないはずなのに
どうやって描かれているんだろうと不思議に思っていたのですがブロックを積み上げるように描かれていたんですね
(そういう描き方が実際にできることも今さんの説明を受けて調べてみて初めて知りました)
しかもその精度を上げるために2階分や4階分ずつ描いてそれを分割する工夫をされていたことも驚きました
単なるコンピューターの演算処理的なプログラムではない
絵描きの人ならではの“人間的な合理主義”のようなものを感じました
(こういうのを“職人の技”と言うのでしょうか)
構成の重要性は今さんの理性的で秩序立った絵を見れば分かりますし
秩序があるからこそそれを歪めたり破綻させた時に初めて効果が出るのだと思います
最初から勢いだけで破綻させたような絵だと作品の傾向が極端に限られてしまうだろうし
私自身そういった品のない作品にはあまり食指が動きません
一見豪華絢爛でド派手な装飾を施した作品でも違和感を覚えることがあるのは
今さんの指摘されたように話の面でも絵の面でも構成の弱さという致命的な弱点があったからなんですね
私が今さんの映画に惹かれたのは臨場感のある空間を感じたからという理由もあります
今さんの絵では汚しやタッチの入ったものも大好きで『セラフィム』は全話分ファイリングし
ていつも楽しく眺めています(たまーに読みます)
この傾向の絵も大好きなのでいつかは『OPUS』も全部読んでみたいです
あの緻密な絵コンテの絵が完成するまでの作業量には圧倒されてしまいますが
『東京ゴッドファーザーズ』の制作日誌で読んだ
「まずラフ描いて、さらにそのラフを少しクリンナップしたラフ描いて、さらにさらにそのラフをもっとクリンナップしたラフ描いて、
というシロウト目には既に下絵とも思える段階の3枚目のラフ作成中! ふー、凄さまじい」
というポスターの作画手順を知った時から
「この人は本気だ!」という感じをビシビシと受け取っていたので
今回具体的なお話を伺う事ができて本当に幸せでした
ありがとうございました
作画手順のお話興味深く読ませていただきました
私は今さんの絵を見るのは大好きですが自分では全く描かないので
絵の“基本”と呼べる考え方に触れることができて目から鱗がぽろぽろと落ちるような思いでいます
描き手によって作画の際に踏む手順はそれぞれ異なるとのことですが
今さんの経験則によって培われた手順はシンプルで理解しやすく普遍的なものに感じました
私は今さんの作品をできるだけ楽しむため作品のエンドテロップや
今さんの書かれた文章やインタビューの中に出てくるアニメーターの方々のお名前を頼りに
その方々を調べているうちに絵を見る楽しさにどんどんハマリ込んでいきました
見る専門の私にとっては絵描きの人達の技術はどこまでいっても魔法のようなもので
今回大魔法使いの今さんの解説によって魔法の秘密が少し分かったようでドキドキしました
集中力のお話にある「ゲームのステージをクリアするのと同じようなもの」という喩えは凄く腑に落ちました
私の実感からしても大きな目標に対しては即座に「ムリ」と思ってしまうのでその日ごとの目標に置き換えたり
それでもしんどい時には1時間ごとに「あと1時間頑張る」という謎な目標を立てたりしてその達成感の数珠繋ぎで1日をしのいでいたりします
レベルは違っても今さんがご自身の集中力に対して
絵の作業手順ごとにそういった配慮をされているというお話は参考になりました
(それでも今さんが鋼の集中力と鉄の意志をお持ちでいらっしゃることは絵コンテ集と映画を拝見すれば一目瞭然ですが)
私は最初パースという概念を知らなかったのですが
今さんの「記号の町」作成時のお話を理解するために自分なりに苦労して調べたりもしました
今だにその理解度は怪しいですが上下方向にもパースの付いたビルがどうやって描かれているかが分かってスッキリしました
左右方向のパースだけのビルの場合と違って均等に分割できないはずなのに
どうやって描かれているんだろうと不思議に思っていたのですがブロックを積み上げるように描かれていたんですね
(そういう描き方が実際にできることも今さんの説明を受けて調べてみて初めて知りました)
しかもその精度を上げるために2階分や4階分ずつ描いてそれを分割する工夫をされていたことも驚きました
単なるコンピューターの演算処理的なプログラムではない
絵描きの人ならではの“人間的な合理主義”のようなものを感じました
(こういうのを“職人の技”と言うのでしょうか)
構成の重要性は今さんの理性的で秩序立った絵を見れば分かりますし
秩序があるからこそそれを歪めたり破綻させた時に初めて効果が出るのだと思います
最初から勢いだけで破綻させたような絵だと作品の傾向が極端に限られてしまうだろうし
私自身そういった品のない作品にはあまり食指が動きません
一見豪華絢爛でド派手な装飾を施した作品でも違和感を覚えることがあるのは
今さんの指摘されたように話の面でも絵の面でも構成の弱さという致命的な弱点があったからなんですね
私が今さんの映画に惹かれたのは臨場感のある空間を感じたからという理由もあります
今さんの絵では汚しやタッチの入ったものも大好きで『セラフィム』は全話分ファイリングし
ていつも楽しく眺めています(たまーに読みます)
この傾向の絵も大好きなのでいつかは『OPUS』も全部読んでみたいです
あの緻密な絵コンテの絵が完成するまでの作業量には圧倒されてしまいますが
『東京ゴッドファーザーズ』の制作日誌で読んだ
「まずラフ描いて、さらにそのラフを少しクリンナップしたラフ描いて、さらにさらにそのラフをもっとクリンナップしたラフ描いて、
というシロウト目には既に下絵とも思える段階の3枚目のラフ作成中! ふー、凄さまじい」
というポスターの作画手順を知った時から
「この人は本気だ!」という感じをビシビシと受け取っていたので
今回具体的なお話を伺う事ができて本当に幸せでした
ありがとうございました
投票数:2
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Re: 絵の話
msg#
s-kon
居住地: 東京
投稿数: 100
>HBというとそれなりに筆圧も高めに
>描かれていると思うんですけど
>時々は手首をくねくねさせたり
>なんかして大事にしてください
お気遣いいただき、ありがとうございます。
長時間絵を描いていると、肩こりも勿論ですが、手もひどく疲れます。
特に清書の時は手の筋肉を緊張させる時間が長くなるので、疲れるだけでなく痛みもします。
「ああ、手が痛い」
よく独り言を言います。
筆圧も高いせいもあって、手の平の側面(小指の下につながるあたり)が痛くなってきます。
内部にキューッと引っ張られるような痛みです。
痛くなってきたら、手を握ったり開いたりして運動させますが、痛みがなくなるわけもなく気休めに過ぎないですね(笑)
筆記具を握るのもパソコンを使うのも手に負担がかかるので、長時間仕事をした翌日は、寝て起きると右肘に痺れるような違和感を覚えるようになりました。
まずいですね。腱鞘炎の兆候かもしれません。痺れるだけで痛みがないのは救いです。
手を休めるのが一番の治療なんでしょうが、そうはいっても手を休ませるということはそのままおまんまの食い上げになるのでね。
毎日出来ることといえば、血行をよくするために風呂に入ってマッサージ機に揉んでもらうくらいしかありません。
筆記具の選択も、手にかかる負担がなるべく少ないものという基準で選んでいるようです。
細い握りのものほど手が痛くなるから太めのグリップを選ぶようになったんでしょう。
私は平均的な日本人男性より手は大きい方だと思います。背が高いから必然的にそうなるのでしょうが。
実測してみます。
指を一杯に広げた親指の先から小指の先までの長さが、
右手25センチ
左手24.5センチ
でした。
この手のサイズには鉛筆では握りが細すぎることがお分かりいただけるでしょうか。
ちなみに手袋の快適なサイズは「LL」で、このサイズは選択肢が少ないので購入時に迷うことも出来ません。
最近のシャーペンは、グリップが太く柔らかいものが多数出ているので助かります。
おかげで随分楽になったように思います。
このBBSで筆記具について書いているせいか、現在コンテの清書をする際、以前より筆記具の選択を意識的に考えるようになりました。昨日は、買ったまま使用していなかった新しいシャーペンを下ろしてみましたが、悪くない使い心地でした。
ただ、ちょっと「芯の先までの距離」が長めなのが今ひとつ。定規で線を引くには都合がいいタイプなんですが。
以前記したとおり、筆記具は立てたり寝せたりと微妙なコントロールをするものですから、握った指の先から芯の先までがなるべく短い方が立てやすいんですよね。
漫画で使用していたペンの方がその点はさらに重要で、だから二度と抜けないくらいペン軸に押し込んだ上に、ペン先にかぶるくらいの握りを被せていました。ペン先はめったに交換しない方で、ペン軸から抜くときはペンチで強引に抜いていました。
>その達成感の数珠繋ぎで1日をしのいでいたりします
あはは、「達成感の数珠繋ぎ」って面白い表現ですね。とても感じが出ている。
私も正にその通りです。
だから、ラフばっかり描き続けているとストレスが高じますね。
ラフだけで済む仕事は別にして、清書までしないと達成感を感じない方です。
下描きから清書の際に、少なからぬ飛躍があったり、新しいアイディアが出て来たりするので、清書といっても創作の成分が高いものです。
「鋼の集中力と鉄の意志をお持ち」だなんて言われてしまいましたが、それは買いかぶりというものです。
確かにフレーム内に高度な秩序を構築することに関しては集中力も意志もずいぶん消費しますが、その分フレーム外に対する集中力と意志が品薄で(笑) 在庫は空っぽ。
どこかで秩序が高まった分、その外部に混沌を生みだしている。よくある話です。
夢のない話で恐縮ですが、誰かの幸福は概ね他人の不幸の上に成り立っているのも同じこと。
フレーム外の混沌でご迷惑をおかけしている皆さま、どうもすいません。
>私が今さんの映画に惹かれたのは
>臨場感のある空間を感じたから
>という理由もあります
おお、何と嬉しいお言葉。
そこにまるで空間があるかのような画面が理想です。
どんなに上手に描かれた背景でも、書き割りみたいに見えるものは結局画面として上手くないと思います。
我々が作っているアニメーションの画面は、「セル+背景+CGその他」によって秩序を構築するもので、各素材が別々の主張をしているような画面は、どれほどそれぞれが上手でも感心しません。
「変なの」としか思わない。だから何とか変にならないよう、各素材に折り合いを付けてもらって、少しでもリアリティのある空間を作ろうとしています。
そう感じてもらえる人が一人でも増えるよう、お言葉を糧に鋭意努力して参ります。
>『セラフィム』は全話分ファイリングし
>ていつも楽しく眺めています(たまーに読みます)
……それは、ちょっと……「なかった仕事」にしているので……何というか……。
>この傾向の絵も大好きなのでいつかは
>『OPUS』も全部読んでみたいです
ありがとうございます。
未完なのは残念ですが、漫画としては最もまとまった絵を描いていたタイトルですね。
いま自分で見返しても、そんなに嫌な気持ちはしないです(笑)
あれをアニメーションに翻案したら面白いかもしれません。
アニメでメタフィクション。
……うーん、やっぱり共同作業には向かないな。
>描かれていると思うんですけど
>時々は手首をくねくねさせたり
>なんかして大事にしてください
お気遣いいただき、ありがとうございます。
長時間絵を描いていると、肩こりも勿論ですが、手もひどく疲れます。
特に清書の時は手の筋肉を緊張させる時間が長くなるので、疲れるだけでなく痛みもします。
「ああ、手が痛い」
よく独り言を言います。
筆圧も高いせいもあって、手の平の側面(小指の下につながるあたり)が痛くなってきます。
内部にキューッと引っ張られるような痛みです。
痛くなってきたら、手を握ったり開いたりして運動させますが、痛みがなくなるわけもなく気休めに過ぎないですね(笑)
筆記具を握るのもパソコンを使うのも手に負担がかかるので、長時間仕事をした翌日は、寝て起きると右肘に痺れるような違和感を覚えるようになりました。
まずいですね。腱鞘炎の兆候かもしれません。痺れるだけで痛みがないのは救いです。
手を休めるのが一番の治療なんでしょうが、そうはいっても手を休ませるということはそのままおまんまの食い上げになるのでね。
毎日出来ることといえば、血行をよくするために風呂に入ってマッサージ機に揉んでもらうくらいしかありません。
筆記具の選択も、手にかかる負担がなるべく少ないものという基準で選んでいるようです。
細い握りのものほど手が痛くなるから太めのグリップを選ぶようになったんでしょう。
私は平均的な日本人男性より手は大きい方だと思います。背が高いから必然的にそうなるのでしょうが。
実測してみます。
指を一杯に広げた親指の先から小指の先までの長さが、
右手25センチ
左手24.5センチ
でした。
この手のサイズには鉛筆では握りが細すぎることがお分かりいただけるでしょうか。
ちなみに手袋の快適なサイズは「LL」で、このサイズは選択肢が少ないので購入時に迷うことも出来ません。
最近のシャーペンは、グリップが太く柔らかいものが多数出ているので助かります。
おかげで随分楽になったように思います。
このBBSで筆記具について書いているせいか、現在コンテの清書をする際、以前より筆記具の選択を意識的に考えるようになりました。昨日は、買ったまま使用していなかった新しいシャーペンを下ろしてみましたが、悪くない使い心地でした。
ただ、ちょっと「芯の先までの距離」が長めなのが今ひとつ。定規で線を引くには都合がいいタイプなんですが。
以前記したとおり、筆記具は立てたり寝せたりと微妙なコントロールをするものですから、握った指の先から芯の先までがなるべく短い方が立てやすいんですよね。
漫画で使用していたペンの方がその点はさらに重要で、だから二度と抜けないくらいペン軸に押し込んだ上に、ペン先にかぶるくらいの握りを被せていました。ペン先はめったに交換しない方で、ペン軸から抜くときはペンチで強引に抜いていました。
>その達成感の数珠繋ぎで1日をしのいでいたりします
あはは、「達成感の数珠繋ぎ」って面白い表現ですね。とても感じが出ている。
私も正にその通りです。
だから、ラフばっかり描き続けているとストレスが高じますね。
ラフだけで済む仕事は別にして、清書までしないと達成感を感じない方です。
下描きから清書の際に、少なからぬ飛躍があったり、新しいアイディアが出て来たりするので、清書といっても創作の成分が高いものです。
「鋼の集中力と鉄の意志をお持ち」だなんて言われてしまいましたが、それは買いかぶりというものです。
確かにフレーム内に高度な秩序を構築することに関しては集中力も意志もずいぶん消費しますが、その分フレーム外に対する集中力と意志が品薄で(笑) 在庫は空っぽ。
どこかで秩序が高まった分、その外部に混沌を生みだしている。よくある話です。
夢のない話で恐縮ですが、誰かの幸福は概ね他人の不幸の上に成り立っているのも同じこと。
フレーム外の混沌でご迷惑をおかけしている皆さま、どうもすいません。
>私が今さんの映画に惹かれたのは
>臨場感のある空間を感じたから
>という理由もあります
おお、何と嬉しいお言葉。
そこにまるで空間があるかのような画面が理想です。
どんなに上手に描かれた背景でも、書き割りみたいに見えるものは結局画面として上手くないと思います。
我々が作っているアニメーションの画面は、「セル+背景+CGその他」によって秩序を構築するもので、各素材が別々の主張をしているような画面は、どれほどそれぞれが上手でも感心しません。
「変なの」としか思わない。だから何とか変にならないよう、各素材に折り合いを付けてもらって、少しでもリアリティのある空間を作ろうとしています。
そう感じてもらえる人が一人でも増えるよう、お言葉を糧に鋭意努力して参ります。
>『セラフィム』は全話分ファイリングし
>ていつも楽しく眺めています(たまーに読みます)
……それは、ちょっと……「なかった仕事」にしているので……何というか……。
>この傾向の絵も大好きなのでいつかは
>『OPUS』も全部読んでみたいです
ありがとうございます。
未完なのは残念ですが、漫画としては最もまとまった絵を描いていたタイトルですね。
いま自分で見返しても、そんなに嫌な気持ちはしないです(笑)
あれをアニメーションに翻案したら面白いかもしれません。
アニメでメタフィクション。
……うーん、やっぱり共同作業には向かないな。
投票数:26
平均点:8.85
手は大事にして下さい
msg#
麻衣子
私は右手左手とも19センチでした
(ちなみに中指の先から手首の辺までの長さが17センチでした
指の長さは内緒です)
今さんのように大きな手だとその分筋力も発達しているでしょうし
長年に渡って描き続けられた結果絵を描く時に使う部位が特に発達していると思うのですが
それでも痛みを感じられるというのはやはり膨大な作業量によるものなんでしょうね
“絵を描く”というのは身体的な作業なので今さんのように誠実に仕事をされている方には
避けられないことなのかなとも思いました
プロスポーツ選手でも一流の人になるほど必ず何らかの故障を抱えているとも聞きます
今さんの周りではよくある職業病のひとつなのかもしれませんが
「ああ、手が痛い」という独り言はSOSのようで読んでいて胸が締め付けられる思いがしました
私が大げさに受け取りすぎなのかもしれませんがそれでも心配です
筆記具は「握った指の先から芯の先までがなるべく短い方が立てやすい」というのは
普段文字しか書くことのない私からするとかなり驚きです
字を書く時には先端からある程度離れた所を持つ方が書きやすいので
先端ぎりぎりを立てて持つということはその分コントロールが利く範囲が狭くなり
ディテールを描くために特化された持ち方だということですね
この状態で描き続けるのはかなり大変そうなイメージです
「ラフだけで済む仕事は別にして、清書までしないと達成感を感じない方」というのは
今さんの個人的な嗜好性について言われてるんだと思いますが(もちろん作業効率上の理由があることも承知してますが)
実際にアニメーションの業界で絵を描かれる方達は皆さん清書までして初めて達成感を得られるんじゃないかと思います
ただ実際にはそこまで追い込んで妥協せずに絵を仕上げるのは今さんを含めた一部の方達だけで
その分肉体的な負担を背負っていらっしゃるのではないでしょうか
腕の立つ人程故障も抱えやすいというのはファンの立場からしてもこの解消できないジレンマに対して呪わしい気持ちにさえなります
堅実な絵は今さんの持ち味だとも思うのですが
『ワールドアパートメントホラー』のような力の抜けた洒脱な絵柄で映画を制作するのはやはり難しいのでしょうか?
ファンとしては無責任なアドバイスは出来ないのでただ新作を楽しみに待つだけです
映画制作に関して「どこかで秩序が高まった分、その外部に混沌を生みだしている」とのことですが
プライベートでネガティブな感情を平気で作品の中に持ち込む作品が多いことを考えると
今さんの態度は映画にとって最も大事なことのように思えます
映画を観る側からすれば全ての監督さんにはそうあってほしいと思います
今さんの作品は各素材の馴染み方や落ち着き方があまりに自然なので観ている間はそれを得るための作業にまで思い至らないのですが
実際にカット毎に今さんが指示される撮出しの詳細さを知ると
「人間だろうか? いつ寝てるんだろうか?」と驚きを通り越して呆然としてしまいます
理想が高い監督さんは大勢いると思いますが
理想に近づくために最善を尽くしている人は数える程しかいないんじゃないでしょうか
今さんのモチベーションと持続力は大きな謎ですがファンとしてはありがたいことです
アニメーションでメタフィクションは筒井さんも仰ってましたが私も今さんの宿命のような気もします
今さんがやらなかったら誰が出来るんでしょうか?
常に新しいテーマに挑戦する今さんも好きですし
メタフィクションを面白く見せてくれる今さんも好きです
どっちも好きなのでこれはファンとしてのジレンマです
(ちなみに中指の先から手首の辺までの長さが17センチでした
指の長さは内緒です)
今さんのように大きな手だとその分筋力も発達しているでしょうし
長年に渡って描き続けられた結果絵を描く時に使う部位が特に発達していると思うのですが
それでも痛みを感じられるというのはやはり膨大な作業量によるものなんでしょうね
“絵を描く”というのは身体的な作業なので今さんのように誠実に仕事をされている方には
避けられないことなのかなとも思いました
プロスポーツ選手でも一流の人になるほど必ず何らかの故障を抱えているとも聞きます
今さんの周りではよくある職業病のひとつなのかもしれませんが
「ああ、手が痛い」という独り言はSOSのようで読んでいて胸が締め付けられる思いがしました
私が大げさに受け取りすぎなのかもしれませんがそれでも心配です
筆記具は「握った指の先から芯の先までがなるべく短い方が立てやすい」というのは
普段文字しか書くことのない私からするとかなり驚きです
字を書く時には先端からある程度離れた所を持つ方が書きやすいので
先端ぎりぎりを立てて持つということはその分コントロールが利く範囲が狭くなり
ディテールを描くために特化された持ち方だということですね
この状態で描き続けるのはかなり大変そうなイメージです
「ラフだけで済む仕事は別にして、清書までしないと達成感を感じない方」というのは
今さんの個人的な嗜好性について言われてるんだと思いますが(もちろん作業効率上の理由があることも承知してますが)
実際にアニメーションの業界で絵を描かれる方達は皆さん清書までして初めて達成感を得られるんじゃないかと思います
ただ実際にはそこまで追い込んで妥協せずに絵を仕上げるのは今さんを含めた一部の方達だけで
その分肉体的な負担を背負っていらっしゃるのではないでしょうか
腕の立つ人程故障も抱えやすいというのはファンの立場からしてもこの解消できないジレンマに対して呪わしい気持ちにさえなります
堅実な絵は今さんの持ち味だとも思うのですが
『ワールドアパートメントホラー』のような力の抜けた洒脱な絵柄で映画を制作するのはやはり難しいのでしょうか?
ファンとしては無責任なアドバイスは出来ないのでただ新作を楽しみに待つだけです
映画制作に関して「どこかで秩序が高まった分、その外部に混沌を生みだしている」とのことですが
プライベートでネガティブな感情を平気で作品の中に持ち込む作品が多いことを考えると
今さんの態度は映画にとって最も大事なことのように思えます
映画を観る側からすれば全ての監督さんにはそうあってほしいと思います
今さんの作品は各素材の馴染み方や落ち着き方があまりに自然なので観ている間はそれを得るための作業にまで思い至らないのですが
実際にカット毎に今さんが指示される撮出しの詳細さを知ると
「人間だろうか? いつ寝てるんだろうか?」と驚きを通り越して呆然としてしまいます
理想が高い監督さんは大勢いると思いますが
理想に近づくために最善を尽くしている人は数える程しかいないんじゃないでしょうか
今さんのモチベーションと持続力は大きな謎ですがファンとしてはありがたいことです
アニメーションでメタフィクションは筒井さんも仰ってましたが私も今さんの宿命のような気もします
今さんがやらなかったら誰が出来るんでしょうか?
常に新しいテーマに挑戦する今さんも好きですし
メタフィクションを面白く見せてくれる今さんも好きです
どっちも好きなのでこれはファンとしてのジレンマです
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補足です
msg#
麻衣子
>プライベートでネガティブな感情を平気で作品の中に持ち込む作品が多いことを考えると
この文は誤解を与えてしまう恐れがあるので訂正させて頂きます
(上の言い回しはもちろん今さんのことを指しているわけではありません)
正しくは
「プライベートでネガティブな感情を消化せずに
そのまま作品内に吐き出してしまう監督が多いことを考えると」
ということです
ブログで聞く事の出来る今さんの本音はどれも納得できるものばかりで理不尽なものに感じたことはありません
この文は誤解を与えてしまう恐れがあるので訂正させて頂きます
(上の言い回しはもちろん今さんのことを指しているわけではありません)
正しくは
「プライベートでネガティブな感情を消化せずに
そのまま作品内に吐き出してしまう監督が多いことを考えると」
ということです
ブログで聞く事の出来る今さんの本音はどれも納得できるものばかりで理不尽なものに感じたことはありません
投票数:2
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