Interview 12
2001年7月 カナダから、主に「千年女優」に関するインタビュー


2001年夏にカナダのモントリオールで開かれた「FANTASIA」という映画祭に「千年女優」が招待されたのですが、それに先だって地元の「VOIR」という新聞から受けたメールによるインタビューです(04/9/25更新)。

1. この映画は何かに対してのオマージュですか?

いいえ、オマージュではありません。
劇中にははっきりそれと分かるような日本の名作映画を意識したシーンもありますし、それらのシーンはオマージュといっても良いものです。だからといってこの作品は日本映画に対するオマージュとして作ったわけではありません。
 この映画は私の「宣言」といえるかもしれません。それは私の今後の創作活動の在り方、あるいは宗教観も含めた生き方そのものの宣言といってもいいです。 それは最初から意図したというわけではなく、作っているうちに分かってきたことのように思えます。
 質問の意図とはちょっと外れているかもしれませんが、たとえ周りの人間に迷惑をかけようとも自分自身の思うところに誠実に、時には周囲や自身と壮絶な葛 藤をしながらも真摯な態度で生きた人、生きている人、そして生きようとしている人に対するオマージュといえるかもしれません。

2. 映画を拝見して歴史を忘れかけている人々に対して文化や生活を通して改めて彼らに歴史を思い出させているように思えました。この傾向は他の日本文化にも見られることだと思いますが、監督はこの作品中こういったことを意識的にされているのですか?

当初は特に意識していなかったのですが、制作中に必要な資料を読んだり多くの写真資料に触れているうちに、私自身が「歴史」に対して目を新たにしました。
日本の場合、特に敗戦という痛手、それこそ焦土からの復興をして今日の繁栄を得ています。現在は不況だといわれますが、それは少し前に比べれば経済状況が「良くなくなった」というだけで、日本は実に豊かな国だと思います。
 私はそういう日本の現在に暮らしています。豊かさを十分以上に享受していると思います。今回の作品制作を通して、歴史という長い長い時間の上に豊かな現 在があるということを私自身が実感しました。それまで学校の歴史の時間で習うような知識はあっても、それらの歴史的事実が、現在自分の足をついているその 同じ地面の上で起こったことだという実感に乏しかったのです。それがこの作品を作っているうちに、少しだけ自分の体に入ってきたという感じがしました。で すので、そうした制作中のリアルタイムの私の体験がフィルムにも反映されていると思います。

3. 作品を製作する際、イメージ、コンセプト、登場人物どのような順番でストーリーを構築したのですか?

私が一番最初に思いついたアイディアのメモが残っています。
“かつて大女優と謳われた老女が自分の一代記を語っているはずが、記憶は錯綜し、昔演じた様々な役柄が混じりはじめ、波瀾万丈の物語となっていく”
たったこれだけのメモが約2年の間に87分の長編アニメーション映画に育ったのです。我ながら改めて驚きます。
この最初のメモから私が大雑把なプロットを作りました。
 いざ話を膨らませる段階になって、物語る主人公とそれを聞く者が設定され、そしてその取材者側が相手の回想に入り込んでいく、それだけでなく回想の登場 人物としても登場する、というスタイルを思いつきました。そのことによって、この企画への確信めいたものも生まれてきました。
 というのも、この企画は元々「パーフェクトブルー」を見たプロデューサーが一緒に映画を作ろう、と声をかけてくれたことがきっかけで始まったのですが、 そのプロデューサーが「“パーフェクトブルー”の持つ“騙し絵”のような映画を作りたい」と言ってくれたのです。私はその言葉に触発されて企画を考え始め たので、「騙し絵」的な構造を持つ話を模索していたのです。私もそうした構造の作品は大好きです。
 またこのプロットの時点で映画のラストシーンがイメージされ、それは完成した映画にそのまま残っています。このラストシーンを考えついたことで作品への 確信は益々高まり、私にとって唯一無二の作品のように思えてきました。私はこのラストシーンに至りたくてこの映画を作っていたのだと思います。
 こうしてプロットの段階で作品の構造と大枠が決まり、中に盛り込むエピソードや人物の細かな設定等はシナリオライターの村井さだゆき氏やプロデューサー も交えて膨らませて行ったのですが、各々のエピソードを決定するには二転三転することになり、結果的にシナリオには多くの時間がかかりました。

4. 歴史的事実をストーリーの中に組み込んでいますが、それは作業的に難しかったですか?

いいえ、難しくはありませんでした。
この作品は主人公の個人的な歴史と客観的な歴史、それに主人公の出演していた映画の部分から成り立っており、それを主人公の主観によってまとめています。
それらの割合で言えば客観的歴史的事実というのは多くを占めません。それらはむしろ作品にリアリティを与える背景という考え方でした。ただ、歴史的な事実も扱う以上は慎重になった面もありますし、それらに対するコンセプトも考えました。
 例えば、一番大きなコンセプトは「瓦礫のイメージ」です。主人公は「関東大震災」という、東京を瓦礫と化した大地震と共に生まれたことになっております 関東大震災というのは歴史的事実です。そして次に瓦礫が登場するのは「敗戦」による瓦礫。これも歴史的事実です。そしてもう一つ登場する瓦礫が「解体され る撮影所」です。これは創作の部分ですが、この3つの「瓦礫のイメージ」はそれぞれ主人公の誕生、成長(死と再生)、死をイメージしています。
単に作品にリアリティを与える背景としてだけでなく、歴史的事実を主人公とどう絡ませて行くかを考えるのはむしろ楽しい作業でした。

5. 監督自身は登場人物のゲンヤと行動を共にするカメラマンに近いと思いますか?

そのつもりでしたし、彼がまた観客の視点を代表してくれる存在というつもりで設定しました。
 あのカメラマンは劇中で名前が出てこないのですが、設定上は「井田」といいます。彼は主人公の千代子や社長の立花の過去、歴史的な過去に対してほぼ無知 といっていい存在です。その彼が千代子の物語を旅することで彼女の人生や歴史に対して少しだけ目を開く、というイメージでした。
それはとりもなおさずこの作品を制作している間の私と重なっております。

6. この映画を製作するにあたってのスタッフは何人でしたか?また制作期間はどのくらいかかりましたか?

意外と難しい質問です。
監督の私がよく顔を合わせる、いわゆるメインのスタッフは20人くらい、顔を見ることも出来なかったスタッフも含めると多分250人くらいだと思います。
制作期間は、シナリオから完成まで約2年です。

7. 「パーフェクトブルー」以降、2作目を作るのは難しかったですか?

まったく難しくありませんでした。私は早く次回作を作りたくて仕方がなかったくらいです。
 私にとって「パーフェクトブルー」は初めての監督作品でしたが、当時も作品に対する自分のスタンスには迷いはありませんでした。ただ、映画制作に最初か ら終わりまで関わるのは初めてでしたし、制作体制や初めて経験するプロセス(特に音響関係)では戸惑いがありました。
 また「パーフェクトブルー」はかなり自分の好みでストーリーを変更したとは言え、一応原作小説があってそれをいじる形でしたので、多少遠慮する部分も あったのですが、「千年女優」はオリジナル作品ということもありましたし、制作上も前回の経験があった分、より作品内容そのものに意識を集中できたように 思います。

8. 周りの人々から「より前作よりもいいものを作れ」というプレッシャーは気になりますか? また全く周囲の声は気になりませんか?

 まったく気になりません。
「パーフェクトブルー」で過分な好評をいただいたのは意外なことでした。勿論私は面白いと思って作っていたのですが、お客さんの反応はそれ以上だったといえます。
 そのお陰でこうして2作目を作れたようなものですが、だからといって私は作品内容的な部分で「パーフェクトブルー」をことさらに意識することはありませ んでした。技術的な部分では非常に良いサンプルとして「パーフェクトブルー」を意識しましたが。
 私の次回作を期待してくれている人がいるのも知っておりましたし、何より私自身が一番次回作を期待していたわけですが、そうした声があるにせよ、私自身 がやるべきことに変わりはないと思っておりました。もちろん期待されるのは嬉しいことですし、その期待に上手に応えたり上手に裏切ったりしたいという欲求 は作品を豊かにしてくれると思っていますし、私にとって映画というのは観客との対話の場であるようにしたいと思っております。

9. 「パーフェクトブルー」の具体的な情報を教えて下さい。何カ国で作品が売れましたか? フランスで成功したと聞きましたが。97年のファンタエイジアで上映されたんですよね? 日本での興行成績はいかがでしたか?

オフィシャルな情報というのは監督にとっては意外と難しい質問になりますね。「パーフェクトブルー」のそうした成果を私はあまり詳しく知らないのです。
世界で何カ国に作品が売れたのか、詳しいデータは知りませんが、英語圏やフランス語圏にはすべて売れたようですし、ドイツやイタリアといったヨーロッパやアジア圏でも成功といっていい数字が出ていると思います。
97年のファンタエイジアでは「Prix du Public Best Film - Asian Film Selection 1st prize」という賞をいただきました。この賞状は現在私の自宅の寝室に飾られております。
私は残念ながらこの時のファンタエイジアには行けなかったのですが、「パーフェクトブルー」はこの映画祭がきっかけになって、実に多くの映画祭に招待されることになりました。
 その中で私が実際に行ったのは韓国のプチョンの映画祭とドイツ・ベルリン映画祭だけですが、興行の具体的な数字よりこうした映画祭で実際のお客さんのリ アクションを知ったり、私にインタビューに来てくれた多くのプレスの方に様々な意見や感想を聞けたことの方が、作品の手応えを実感できましたし、その後の 作品制作に大きな糧を得たように思います。

10. 「パーフェクトブルー」の成功を監督ご自身ではどう受け止められていらっしゃいますか?

意外、という他ありません(笑)
作品を作る以上「これは絶対に面白い」と思っては作っていましたが、それが観客に伝わるかどうかはなかなか作者の思い通りには行かない、そのことは多くの作品が証明しています。何より私が過去に描いていた漫画作品がそれを証明してくれています。
「パーフェクトブルー」は元々ビデオアニメーション作品というフォーマットで作っておりましたので、大きくない市場である程度の成果は期待できると思って いましたが、それが劇場作品として扱われ、さらには世界の映画祭を渡り歩くようになった時点で私にはまるで想像もしていなかった成功、と思えました。
ですから意外としか言えないのです。

11. 「π(パイ)」の監督、ダーレン・アフノロスキーが今さんの「パーフェクトブルー」のリメイク権を買ったという話がありますが本当ですか? 日本ではこの ようにアニメーション作品が実写になるというケースは多いのですか? このことについて監督はどうお考えですか?

ダーレン・アフノロスキー監督とは、今年(2001年)、とある雑誌で対談しました。
「パーフェクトブルー」のリメイク権について、その時本人にお聞きしたのですが、実際にはもろもろの事情があって獲得できなかったとのことです。
 彼は今でも是非リメイクしたいと言ってましたし、彼の2作目「レクイエム・フォー・ドリーム」では、「パーフェクトブルー」とまったく同じアングル、内 容のカットを使ったり、随所に影響が見られる部分があり、見ている私の方が少し照れてしまいました。そのことについても彼は「“パーフェクトブルー”に対 するオマージュ」だと言ってくれましたが、尚のこと照れくさかったです。
自分の監督作品が他のクリエイターに刺激を与えることがあるとは思ってもみませんでしたし、これもまた予想外の嬉しさでした。
「CUBE」のヴィンチェンゾ・ナタリ監督にも一度お目にかかったことがありますが、彼もまた「パーフェクトブルー」を気に入ってくれたようです。一本の作品がこうして他の作家の方との交流を生んでくれるというのも、非常に嬉しいことです。
日本でアニメーション作品が実写になった、というのは記憶にないですね。コミックが実写化されたりアニメ化されることは日常茶飯事ですが。
もしアニメーション作品が、実写であれ舞台であれリメイクされるとしたら、それはそれで面白いことだと思います。もちろんリメイクにあたってはオリジナルとは別の切り口やコンセプトが存在する、という前提ですが。

12. もし間違っていたら申し訳ないのですが、西洋のアニメーションに関して一般的にオリジナリティした内容の作品が多く見られます(※翻訳の原文まま)。日本 で、今さんの監督としての評価はどうでしょうか? 個性的な映像作家と思われていますか? また製作の際には他の人たちとチームとして映画を作られている のでしょうか?ブレーンみたいな人たちはいらっしゃるのでしょうか?

「西洋のアニメーションに比べて日本のアニメーション作品はオリジナリティに富んだ作品が多いように見られる」という前置きと解釈すればよいのでしょうか。
私の日本国内における監督としての評価は自分ではよく分かりません。評価は他人のすることですし、そうした評価も私はあまり耳にしたことがありません。
ですので個性的な映像作家なのかどうかは自分でもよく分かりませんが、私と同じような方向性を持った作品が作られているとは思えないので、個性的といえるかもしれません。
一つはっきり言えるのは、私が作りたいと思う作品は日本のアニメーションの主流とは違った流れの中にあるということです。
 制作スタッフについては、「パーフェクトブルー」と「千年女優」は兄弟といっても良いくらいで、ほとんど同じ顔ぶれで制作しています。ですが必ずしも チームというような枠組みでもありません。皆ほとんどがフリーの人間ですのでスケジュールと指向が合えば参加してくれる、という感じですね。
 とはいえ現在進行中の作品(「東京ゴッドファーザーズ」)もこれまでの2作とスタッフは随分重なっていますし、少しずつ入れ替わりがありながらも、やは り同じような顔ぶれで作品を作って行くのかもしれません。作品制作を重ねて行くと個人の中に技術的なことや精神的なことが蓄積されて行くように、複数の人 間が作る“場”にもそうしたものが蓄積されて行きますし、これは予算では購えない貴重なものだと思います。
私の個人的なブレーンというような人間はいません。
アイディアが実際に作品化されるには、作者の強い欲求が何より必要なことはいうまでもありませんが、それと共に周囲の状況との絡みがありますし、そのアイディアそのものが持っている運があるように思えます。
私がチームやブレーンを持たないことは弱点でもある反面、そうしたシステムを維持するためにアイディアを考えなくて良い分、アイディアが実現化される時点でその作品の強さを獲得し得ていると思います。
力のないアイディアでは有能なスタッフにも資金にも巡り会えないのです。

13. 「パーフェクトブルー」と「千年女優」の2作品で、昔ながらの“ジャパニメーション(日本アニメ好き)”よりも広い層の観客にアピールしようと思ってらっしゃいますか? またそれらのコアのファンの方たちのこの作品への反応はどうでしょうか?

まったくその通りです。アニメファンのみならず、普段アニメーション作品に親しみを持たない人にもアピールしたいと考えて作品を作っています。
日本のアニメーション事情は一部の作品を除けば、そのほとんどがファンのために作られているといった有様で、長くその閉塞状況が続いていると思います。
こうした状況は“ファンのためのファンによる縮小再生産”というループを生みだし、結果、一般の人間にとっては“アニメ作品イコールつまらないもの”という認識すら与えてしまっていると思います。少なくとも私はそう思っています。
しかし私はアニメーションという表現方法が好きですし、面白いことはまだまだ出来うると思っていますので、既存のアニメーションとは違った形の物を作って行きたいと思っています。
コアなファンの人たちの反応ということですが、私にはよく分かりません。
「パーフェクトブルー」に関しては一般紙で取り上げてもらった率に比して、アニメ雑誌ではほぼ取り上げられなかったといっていい状態でしたが、しかし実際 に映画館に足を運んでくれた人の多くやビデオやレーザーディスク、DVDを実際に購入してくれたのはやはりアニメを好きな人たちだったと思いますし、彼ら に非常に感謝しています。
少々風変わりな作品でも受け入れてくれる土壌はあると思いますし、そういう傾向の作品を待っている人も多いのではないかと思います。

14. この業界に入られたきっかけを簡単に教えて下さい。

 私は元々漫画家でしたが、アニメーションの美術設定の仕事を依頼されたのがきっかけでこの業界に入りました。漫画の仕事と違って時間を扱うフィルムの仕 事は非常に興味深いものでしたし、何より私には、個人制作の漫画とは違って多くの絵描きが集まって作る共同制作というシステムが刺激になりました。それが 面白くていつの間にか12年ほど経ちました。基本的には今もそれが楽しくて作品を作っていることに変わりはありません。
 漫画を描いていたことはアニメーション制作においても非常に役立っています。漫画にはアニメーションに必要な、脚本やキャラクターデザイン、カット割り や構図の取り方、美術設定(いわゆるプロダクションデザイン)といった仕事も含まれていますので、アニメーションの監督をする上で漫画で培った技術は大い に役立っています。

15. 絵を描くのとストーリーを考えるののどちらが得意ですか?それとも両方お好きですか?

どちらが得意なのか、自分では判然としませんが、好きなのはどちらも好きです。
絵を生み出すこととそれを実際に支える技術、作品のアイディアを生み出すこととそれをストーリーとして育てること、これらはそれぞれ使う頭の部分が違うらしく、どれをとっても私には非常に楽しいことです。

16. 監督のバックグラウンド(ご家族など)にはやはり芸術的な方が多いのですか? 画家や作家の方などはいらっしゃいますか?

 両親は二人ともスポーツが得意だったそうですが、私と兄はそれに反発するかのように芸術性のある分野を目指したのかもしれません。兄はミュージシャンで 日本を代表するギタリストです(弟の私がいうのも何ですが)。私の方は日本のアニメ業界の異端児を代表しているかもしれません。

17. 今までの経歴の中で、何作品くらいのアニメーション作品に参加されましたか?

単純に関わった作品というなら「千年女優」で7本目です。業界に入ってから12年で7本ですから、間に漫画を描いている時期があったとは言え、少ない方だと思います。
関わった作品を一応上げておきますと、
劇場作品「老人Z」(美術設定・レイアウト)
劇場作品「走れメロス」(レイアウト)
劇場作品「MEMORIES/彼女の思いで」(脚本・美術設定・レイアウト)
劇場作品「機動警察パトレイバー2」(レイアウト)
OVA「ジョジョの奇妙な冒険/花京院 結界の死闘」(脚本・コンテ・演出)
劇場作品「パーフェクトブルー」(監督)
劇場作品「千年女優」(原作・監督・脚本・キャラクターデザイン)

18. アニメ以外の作品を撮ろうと思われたことはありますか? 「千年女優」に対して(リメイクなど)の興味を持たれた方はいますか?

 漫画を描きたいと思ったことはありますが、例えば実写を撮りたいと思ったことはないですね。基本的に私が私の表現をするためには、自分の絵が必要だと 思っていますので実写を撮るのは、無理して外国語で喋るのに似て思うように表現できないように思えます。
 ですが最近は文章を書くことも好きになりましたし、面白いことさえ思いつけば、その方法が何であれ表現は可能なのだな、と思っております。だからといっ てすぐに他の表現方法を取るつもりはありませんが。何事も技術の習得には時間を要しますからね。
「千年女優」はまだ公開もされていない状態なので、現在のところリメイクなどの興味を持つ人は現れていませんが、「千年」のリメイクということなら私自身 が興味をひかれます。実写も面白いかもしれませんが、舞台芝居にしても面白いと思いますし、テレビシリーズのアニメーションや連載漫画で色々なエピソード をもう少し時間をかけて描き込んでみても面白くなるような気がします。
またこの話なら舞台を外国に移すだけで違ったテイストの作品になると思いますし、色々な国の「千年女優」というのも見てみたいとも思います。

19. 日本での公開が来年になると聞きました。その状況の中、7月にファンタエイジアでプレミア上映されることはとても意味があると思うのですが、監督とファンタエイジアという映画祭について教えて下さい。

日本国内での公開がなかなか決まらないのは、私としては歯痒いことこの上ないのですが、まずはファンタエイジアで上映してもらえるのは非常に嬉しいことです。
何よりファンタエイジアは、前回の「パーフェクトブルー」で好評と賞をいただいた縁起の良い映画祭です。今度の「千年女優」もきっと歓迎してくれることと思います。
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